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猫ショートショート <あと16話>


みなさん、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくご指導のほどを。
さっそくネコ達からもご挨拶してもらおうと思っていたら、新年から愚痴ばっかり。
無駄なことでいらいらせずに、すっきりと新年を迎えたいのがミャオけんの気持ちです。
ともかく、トラさん、トラ生まれの方々おめでとう。

12ああああ


なんでーェ、猫年がないんだよーっ!!

実は猫も招集命令があったとき、絶対に行く気があったのだ。でも悪いネズミにだまされて、一日送れて行ったのがこの結果だそうな。ネズミごときにだまされた猫もバカだよねえ。ネコって油断ならないところあって、抜けたところもあるのは、今に始まったことではないらしいね。ともかくそういう事情でネコとネズミは恨みつらみの仲となった。

孤独で一匹ネコで生きて来た猫の評判はあまりよくはない。

12動物の新年のコメントは・・・
猫は我々を食いあさって有名になったんだ!

草木も眠るウシ三つ時、猫は悪行を開始する・・・

ボクよりもネコのほうが旨いんだって?飛んでもないこった!

ネコとは実在しない架空魔物だと思ってたよ。

ネコ呑んジャった、ネコ食べちゃった、ネコ呑んだ呑んだ呑んジャった~~~

昔からどうもネコとはウマが合わんでね・・・

ネコちゃん、あんたも心を入れ替えたら、天国にいけるのよ。

サルネコ合戦ときやがらあ!!

ネコサシってのも悪くないよね。

猫さえいなかったら、世界中ぼくら派なのになあ~

山猫に縄張り荒らされちゃって、大迷惑してんだ。

諸君、わたしの年だ。くだらない猫批判など止めてみんなで祝ってくれ!

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| 猫.cats,gatti 100の足あと | 12:13 │Comments4 | Trackbacks0編集

猫ショートショート<あと17話>

すむらけんじ


猫とミランダとチョコレートケーキ



生まれてまだ2ヶ月くらいのネコ、名前はペルー。
友達に、
「うちで生まれたんだ。貰い手を探しているだが」
と言われその気になった。

可愛い、大事に育てたい。

たった独りで留守番させるのが辛い。
方法を考えなくちゃあ。

最初は鞄かバスケットに入れて、毎日勤め先に連れて行こうかとまで考えたんだけど・・・やめた。
独身のボスが、時々でっかいシェパード犬を連れて来るからだ。

門番のおかみさんに話を持ちかけたとき、彼女、まんざらでもない顔をした。
「私はまったくかまいませんよ。ネコは好きですからね。でも、出勤前に餌をたっぷり与えたら、夕方まで何とか持つんじゃないかしら?」
「まあね。でもネコは一日中独りでいるんですから、食事くらい一日に2回新鮮なもの与えたいんですよ。それに残業があったりすると帰りが遅くなるでしょう。気になるんです」

このおかみさん、ちょっと愛想悪かったけど、それ以降、幾分ましになった。信用は持てそう。
もちろん月末には謝礼を払う。一日分5ユーロ。

鍵を渡さなければならないので信頼のおける人間ってことが先決問題なんだ。

正直言うと、僕も生活がやりやすくなった。
仕事が終わっていそいそ帰宅しなくてもすむし、
友人と食事に行ったり映画見にいったり出来るもの。

猫も飼いたい自由も欲しい。
これですべてはうまくいく。

月末もちかくなったので、出勤前に門番のかみさんに支払いにいった。

出てきたのはおかみさんではなく、40前くらいの大柄な女だった。 
「あたしは妹のミランダ。ジュリア(姉)の伝いに帰ってきてるんだけど」

シナを作って話すミランダという女。
「あたしもときどき餌を与えにいってるけど、可愛いわァ」

「そうそう、駐車違反の罰金の期限きれそうだから、早く払わないとだめよ。忙しいんだったらあたしが郵便局にいってあげてもいいのよ」
色っぽい目つきでこんなこと言う。
「ご親切にありがとう。でも土曜日に自分で払いに行くから大丈夫です」

地下鉄の駅に向かって歩き出した自分、はっとした。

彼女、何で駐車違反の罰金のこと知ってんだよ。
違反の紙切れは確かに机の一番上の引き出しに入れておいたはずだ。
そう言うことには以外と几帳面なオレ。出しっぱなしにしておくなんて絶対にないのだ。

ミランダめ!引き出しをかってに開けたな。
けしからん!

「鍵を渡すくらいだったらそれくらいは覚悟しとかなきゃあ。その類の女は、すっごく好奇心が強いんだから」
同僚は笑いながら言ったのである。

好奇心の強い女!
覗き見の好きな門番のかみさんの妹!

うむ・・・もしかしたら出戻りかも知れんぞ。

夫と別れて、次の相手を探している。
その白羽の矢にあたったのがオレだったらどうしよう。
ああいう肉感的大女は以外とオレみたいな小柄に惹かれるんだとさ・・・

その次に会ったとき、ミランダはもっとなれなれしかった。

「素敵よ、ネクタイもシャツも。アルマーニね」
やっぱり!

「ひと目見て分かるわ。以前、RINASCENTEの高級ブティック部門で働いてたことがあるの、あたし」
ふっくらした赤い口元。前歯がちょっと空いてる。

だが瞬間、

女の賛辞の言葉の裏に何かさげすみの色を僕は見た気がした。
気のせいだろうか。

下着専用の箪笥の2番目の引き出し。
どれもこれも安物ばかりだ。ボクは下着に金をかけたことがない。
下着は真っ白で清潔であれば充分だ。毎日変えている。

彼女が薄笑いを浮かべて箪笥の中をチェックしているのを想像してゾッとした。

「見えないところはお金をかけてないのね。ウフフ」
翌朝、箪笥の引き出しには鍵をかけ、洗濯物はまとめて物置に入れて鍵をかけた。

           ”

金曜日の夜、ボクが夕刻遅く、残業疲れでへとへとになって帰ってきたときだ。
キッチンに入って仰天した。

でっかいチョコレートケーキがレース編みのテーブルクロースの満々中に君臨していたのだから。
オレンジ色のバラが一輪ざしに。
ボクの一番好きなオレンジ色のバラ。

カードが眼に止まる。
可愛いネコのイラスト入りのカード。うちのネコと同じグレーの子猫。

<お誕生日おめでとう>
ミランダ

赤いマジックのハートのラインでかこまれてあるこの一言。
そうだった。今日はオレの誕生日なんだ。
オレンジ色の薔薇。

何から何までミランダは知っている。

ペルーはちょっと眼を開けたが,またすやすやとボクのベッドの端っこで眠っている。

ミランダがちゃんと面倒を見てくれてるんだから感謝しなければならない。

バカな!何が感謝だ。そのために毎日5ユーロ払ってんじゃないか。

翌日は土曜日。
調子が悪く、昼過ぎまで寝ていた。

ネコが腹を空かせてミヤオミヤオやりだしたので目が覚めた。頭痛がする。

キッチンに入って昨日のチョコレートケーキが目に入り肝をつぶした。

オレンジ色の薔薇が窓から差し込むさわやかなひざしで、ふっくらとふくらみを。
ミランダの唇を瞬間思い出す。

ケーキを見ていると、急激に空腹を感じた。

「食っちゃえ!」

3分の1までがつがつと食べたら、気分が収まった。
ああ、ミランダよ。ほっといてくれよな。

・・・でも、チョコレートケーキは最高だ。

ペルーが盛んに出たがって、ドアをガリガリやっている。
どうしたんだよ?
中庭の草を食べたいのかもしれないと、下まで連れて行くことにした。

ドアを開けると、ペルーは猛烈なスピードで階段を駆け下りていく。
ネコは成長した。

気がつかなかったが、多分倍くらいに大きくなっている。
毛がつやつやしている。
ボクはブラシなんかかけたこともないのに。

ペルーは中庭には出ず、門番の家の中に飛び込んで行った。

編み物をしていたおかみさんが手を休めて、ネコを抱き上げた。
「やっぱりここがいいんだね。でも、ミランダはもういないんだよ」

「シニョーラ、ミランダさんはお出かけですか?チョコレートケーキのお礼を言いたいと思いましてね」

・・・すごくおいしかったんですよ。
まだ甘い香りが口いっぱいに広がっている。

「ミランダはもういませんよ。旦那が迎えに来たので、よりを戻して帰っていったわ。」

え?出戻りではなかったのか。

「あの夫婦は喧嘩ばかりしてるの。もとはと言えば、ミランダが誰にも彼にも親切でおせっかいを焼くので、旦那が焼きもち焼くからなの」
おかみさんは慣れた手つきで猫をボクの腕の中に。

「独りぼっちでは可愛そうだと日中はペルーをここに連れて来ていたの。余計なことはしてくれるなってあなたが言うんじゃないかと思って言わなかったのよ」

「さあ、帰ろうね」
ネコはあきらめたようにボクの腕の中にうずくまった。(K)

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 02:19 │Comments0 | Trackbacks0編集

ミャオけんの猫コレクション(2)

aritayaki

カップの中のネコたち

この写真で見ると猫は2匹しか見えないけれど、裏側にもう一匹。

3匹ともニコニコ笑っていて、コーヒーを飲む人もつい微笑んでしまいそう。

れっきとした有田焼です。

手作りのやわらかさと素材(磁器)の気品さがマッチしていて、使うのはもったいない工芸品的カップ。
ぬるっとした触感と色合いは、手に取った瞬間カップであることを忘れさせてしまう、不思議なオッジェットです。

これは昨年出版社のA嬢が、ネコ好きのボクにプレゼントしてくださったものです。

一度も使わないで飾ってあるので、{有田焼}のシールもくっついたまま。

さっそく我が家の質素なネコ・コレクションのメンバーに加わってもらいました。(K)

| けんじの猫コレクション | 23:37 │Comments0 | Trackbacks0編集

猫ショートショート あと18話
フィッサ

食べそびれた昼ごはん 2

こんな情けない、恥ずかしい、ひもじい思いするなんてね。こんな南部の片田舎で。
ボクはだらしない人間だってことは分かってる。フリーで働きはじめて、決まった時間に食事するって習慣なんかないんだ。我が家の哀れなネコ(今、どうしてるかなあ。上階のおっさん、ちゃんとエサやってくれてるかな?)だって、決まった時間に食べれたことなんかない。哀れなカロータよ。

再び炎天下に放り出されたボクは、泉のある小さな広場に向かってのろのろと歩きだした。少々上り坂だが仕方ない。下って行って塩水を飲まされるよりマシだもの。

おや?またあのネコが!
ボクの10メートル先にちょこんと座ってこっちを見ているのだ。
ボクについておいで、美味しいもの食べさせてくれるところ連れてってあげる。
もう、その手には乗らんぞ!

勢いよく走ってきた自転車がすれ違った。
キーっと、ブレーキの音が沈黙の白昼に響き渡って振り向くと、やせすぎの背の高い女が自転車を降りようとしていた。

「あんた、ミラノから来たB氏のお友達じゃない?」
黒いワンピースに黒いほおかむり(?)の女は地方なまり丸出しのざらざらした声で言った。

真っ黒に日焼けした顔と腕、しわしわの顔に濃い青い目がキラキラしている。
左右の眉毛がくっつきそうだ。

「こんな時刻にうろうろして、あんた日射病にでもなったらどうするのよ」

「いえね・・・あのすだれのかかってる家が飲食店だと思って入って、パスタだけでも・・・って頼んだら、ここは我が家の台所だって断わられたんです。ああ、ボクお腹空いて死にそうなんです。なんでもいいから食べさせてくれるところを教えてください」

女はボクの言葉を最後まで聞いてはいなかった。

いきなりボクの腕ががしっと捕まえられた。力強い逞しい手だった。
彼女は無言のままどんどん歩いていく。
すだれの入り口の前につくと、躊躇なく中へ入って行った。

「あんたたち!」

「あらっ、フィッサったらどうしたのよ」
皿を洗っていた女がひょうきんな声をあげた。

「あんたら、どうしてこうも情がないんだよ。この若者はお腹が空いてんだよ。何か食べさせてあげて。この人はB氏のお友達で昨夜ミラノから着いたばかりなんだから」
方言だが、そのようなことを言ってるのが大体理解できる。

「フィッサ、わしはただ、ここは飲食店ではなく我が家の台所だと言っただけなんじゃよ」
さっきの長老らしい白い髭の老人が言った。

「父さん、わかったわよ。とにかく食べさせてあげて」

そしてフィッサおばさんはボクの顔を覗き込んで言った。

「今、妹がパスタを作ってくれるからね。安心してお食べ。田舎の人間だからよそ者の扱いをしらないんだよ。悪い人間ではないんだけどね。夕食はわたしがおいしいもの作ってあげる」

そしてフィッサおばさんはなにやら彼らと話していたが、完璧な方言なのでさっぱり分からない。
やがて彼女は忙しそうに出て行った。

茹で上がったスパゲッティの大皿を運んできたフィッサさんの妹さんは、さっきのしかめっ面とは違い、ニコニコしている。
「これは我が家でつくったイワシの油漬けじゃ」
一家の長が、たなから大瓶を取り出してきて言う。

ボクはもう、お腹がはちきれるほど食べた。
こんなにスパゲッティがおいしいと思ったことはなかった。

peschici2

腹いっぱいになったところで、今度は質問攻めになると思いきや、そうはならなかった。
別にボクのことを知りたいなどと思わないらしいのだ。
彼らは素朴な田舎の人たち。眠いんだったら居間のソファで休んでいけばいい、などという。


翌日の午後からは、マリアさん(フィッサさんの妹)の旦那さんの漁船に乗っけてもらった。
「あれがB氏の住まいだ」
彼は遠くを指さして言う。絶壁に君臨する屋敷の下は、まっしろなしぶきが石壁を打ち砕くばかりだ。
B氏はこの街のボス的存在なのだろう。

昨日の夜、クローチェフィッサさんが言っていた。
自分の息子をレッチェの大学に行かせられたのも、B氏の力があったからこそと。フィッサさんにはB氏は大恩人なのだ。

3日も経ったけど、B氏はまだ戻って来ない。
ローマの弟さんの急死のあと始末で大変なんだろうとフィッサさんが言う。

そしてボクはB氏に会うことなくして、シチリアのメッシーナへ発つことにした。
メッシーナで車を預け、船でリーパリ島へ。
ミラノで仲良しだった警察官は生まれ故郷で結婚式を挙げようとしている。

フィッサさんは出発の日の朝、パニーノを2つ作ってくれた。(K)

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 20:50 │Comments5 | Trackbacks0編集

猫ショートショート・あと19話
peschici


食べそびれた昼ごはん 1

みなさん、ぺスキチってところご存知ですか?
イタリア半島のずーっと下の方、ちょうどブーツのかかとの上の辺りにあるプーリア地方の海の街です。
そんな小さな漁村にボクがのこのこ出かけたのは、ミラノで活躍する、結構偉いデザイナーのB氏がぺスキチの出身で、その漁村に500年前のころの小さなお城を持っていて、夏休みにボクを招待してくれたのです。


ボクがおんぼろのフィアットプントをたけってそ町に着いたのは8月半ばの、もう黄昏どきだった。

やっとお城についたら、門のところにしわしわの老人が座ってうとうとしていた。
ボクが声をかけると、寝ぼけ顔のお年よりは待ってましたとばかり、
「残念ながら家主は奥さんと、葬儀のためローマに行ってしまったんじゃ。5,6日は戻っては来んじゃろ」

そして僕を海岸の洞穴みたいなところに案内してくれたのである。

「ここがあんたの寝場所じゃ。好きなだけいてもよいとB氏からの伝言じゃ。飯は隣のフィッサに相談してくれ」
そう言い残すと、老人は役目は終わったとばかりせかせかと出て行ってしまった。

電灯をつけて家の中を点検すると・・・
長い細い洞窟みたいだけど、でこぼこの壁は真っ白に石膏で塗りつぶされ、床は色とりどりのタイルで敷き詰まれている。そして60センチ平方くらいのモダンなシャワーもついている。

いつの間に紛れ込んだのか、一匹のオレンジと白のぶちの大ネコが足もとでボクを見上げていた。
ミラノにおいて来た我がネコにちょっと似ている。頭をなぜてやると抵抗しないですり寄って来る。
可愛い!
抱き上げるとおとなしくボクの腕の中でじっとしているのだ。

もう真夜中に近かったので、ザイノの中にわずかに残っていた板チョコとクラッカーを食べた。
腹は猛烈に空いていたけど眠気のほうが勝って寝てしまった。

翌日目が覚めて,こんがらがった頭で洞窟のようなところに寝ていたことを思い出した。
ベッドの横のる小さなドアを開けると、強い日差しで目がくらくらするほど。南国、しかも最果てに近い所に来てるんだって実感した。
足もとから真っ白な砂浜が連なって、そのむこうに青緑の海が広がっている。
「おお、パラダイス!」

ネコの姿が見えない。きっと自分だけの秘密の出入り口があるに違いない。

お隣に住むフィッサという人の家に行くと、小学生くらいの娘さんらしい人が出てきて、「マンマは仕事に行ったわ。お昼すぎまで戻ってこないの」と言う。
色は黒いが顔のほりが深く、眼の輝きがさっき見た海の色を思い出させる。
完成してしまったって感じ。体つきはまだ子供なのにさ。

近所のバールでミラノの朝食と全く同じ、クロワサン2つとカップッチョで済ませ、海に出て思いっきり泳ぎ、疲れて紺碧の空を飛びかうウミネコを追っているうちに寝込んでしまいました。


暑さとあまりの空腹で目が覚め、起き上がったとき目眩がした。
たった数時間で真っ黒になった我が肉体。
カッコいいっ!
さあ、飯だ!と時計を見たら、もうとっくに2時を回っている。
海岸を出て、石畳の細いくねくねした細道を歩いていたらピッツェリアが目に止まった。

「もう、昼は終ったよ。夜は7時からだ」と、素っ気ない主人。

お菓子屋もミニスーパーも乾物屋も昼休みのため全部しまっている。

そのうちムレット(砕いた石を積み重ねただけの)の塀で囲まれた細道に紛れ込んでしまい、汗を拭きながらとぼとぼ歩いていると、小さな泉に出た。
そこで水を飲んで座り込んでいると、わき腹のところにあのオレンジと白の猫がいて、体を刷り寄せてくる。
ぞっとするほどの沈黙の白昼にめぐり会ったのは一匹のネコなのであった。

「道に迷ってバールもどこにあったかわからないんだよ。これでは飢餓でのたれ死だ」
聞いているのか聞いていないのか、ボクの腕から抜け出したネコはゆっくりと歩きだした。

ところがネコは、あるところまで行くと振り返り、座り込んでじっとボクを見るのだ。
ボクが立ち上がってのろのろ歩き出すとネコはまたゆっくりと進んでいく。

約5メートルの間隔をおいて・・・おまえ道案内してくれるのかい?
本当にそんな気分になっている自分だった。

と、ある角をまがったとき。
なつかしい?人声を聞いたのだった。
人声はカラフルな綱状のすだれの中から聞こえてきた。時々どっと笑い声までが。
カラフルな縄のすだれ・・・記憶にあるぞ。どこだったっけ。

わが道案内のネコは、ふりかえってじっとボクを見、お先にとすだれの中に入っていった。
ボクも店の中に・・・

直射に慣れたボクの目には大きな室内は真っ暗だった。
目が慣れてくると、部屋の中央に大きな長いい木のテーブルがあり、労働者風4,5人の客たちが座って飲んだり食べたりしている。

いつの間にか喋っていた客たちは黙り込んで、シーンとしてしまった。
ボクを見ていたのである。

パスタを口にもっていったままじっとこっちを見上げている男。回収した皿をもったままの女。

ボクは空いた椅子にどんと座り込んで一気に言った。
「時間が外れてしまっているのはわかっています。簡単なパスタだけでもいいんですよ」

コーラを手にした子供がクスリ。
ボクは空腹のため脱水状態を感じることがある。そのときもそうなっていた。
空腹がひどいと、不機嫌になる傾向もある。

「トマトソースのスパゲッティだけでもいいんです」
くりかえすボクに、
ワイングラスを手にしていた老人が初めて口を開いた。

「ここは我が家の台所でのう」
はあ?
よろよろと立ち上がる見知らぬ客に手を差し伸べるものはいなかった。

ひとつだけ見逃さなかったこと。
ネコはテーブルの上に飛び乗り、何か残り物を食べ出したのだ。

おまえさんの住処だったのかよ!(k)
このショートこれでおしまいにしたいけど、次回はせっかく準備した後編を書きます。
フィッサおばさんの登場です。
クローチェフィッサが彼女の正式の名前。
十字架のキリストと言う意味です。南部らしい名前ですね。
ではお楽しみに。

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 02:52 │Comments4 | Trackbacks0編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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