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おくりねこ


「・・・わたくし、ティンティンに枕元で見取られながら死にたいの」
老婆はうわごとのようにくりかえす。

医者・・・この言葉、3日間に20回は聞いたな。

「あなたのネコへの情愛に頭が下がります。ネコちゃんはきっとあなたの望み通りにしてくれるでしょう」
「・・・ティンティンはまだ、8歳なの。わたしが死んでしまったらどうなるんだろう」

「ロザンナさん、ご心配要りません。わたしが見てさしあげますわ。わたしとティンティンはとってもいいお友達になりましたの」
アンナは老婆の手を取ろうとした。
だが、老婆は手を引っ込めた。
「あんたがティンティンの面倒をみてくれるんだね?お礼としてわたしの資産全部あんたに託すんだから、それくらいのことはしてくれないとね」

医者・・・おやおや、ネコの面倒くらいで、気の遠くなるような資産を譲るんだって?やっぱり正気ではないな。
「ロザンナ夫人、あなたの生命力はすごい。93歳とはとても思えない。気持をしっかり持つのです」
「わたしは孫を失ってから、どーっと年老いたてしまったのよ。ぐうたらでどうしようもない孫だったけど・・・」

アンナはひとつひとつ老婆の言葉にうなずいてみせる。

「ティンティンはどこだい?わたしの枕元に連れてきておくれ」
アンナは口ごもったが、やっとこう言った。
「今日はとってもいい小春日和なので、お庭を散歩しているようですわ。うっとおしい雨季が終わって、ティンティンもうれしいのでしょう」

老婆はレリーフの天井を、うつろな目で眺めている。
「この天井が私には高すぎてねえ、吸い込まれそうだよ。目がくらくらしてくるよ」
医者はあいづちを打って言った。
「4メートル以上はありそうですからね。全く立派なお屋敷です」
「あなたは誰?バルビエ-リ先生ではないのね?先生はなぜいらしてくださらないの?」
オッホン!小さく咳きをして医者は言った。
「すでに(もう8回も)ご説明申し上げたように、バルビエーリはですね、暫くの間どうしてもうかがうことが出来ず、わたしが代わりとしてロザンナ夫人の健康管理をさせていただいているわけです」

「・・・わたしはティンティンの傍で死にたいんだよ」
うわごとのように繰り返すと老女は目を閉じた。




「先生、ちょとお話が・・・」

医者とサロンに移ったとき、アンナは声を落として言った。
「先生、実は今朝、ネコのティンティンが死んだのです」
「ええっ?死んだ?」
「私が夜明けに病室に入っていったとき、ティンティンはすでに死んでいたのです。いつものようにロザンナさんの足元に丸くなって寝ているのではなく、彼女の枕元で寄り添うように横になっているので、不審に思って近づくとすでに冷たくなっていたのです。私は夫人が目を覚まさないように、そっとネコを抱きかかえて病室をでると、獣医さんにすぐに電話をしてここに来ていただくようにお願いしました・・・ティンティンは老衰で息絶えたのだそうです」
「老衰だって?だってあのネコはまだ8歳なんだろう?」
 娘は顔を横に振った。
「いいえ、本当は18歳なのです。3週間くらい前かしら。お知りあいがお見舞いにいらしたとき、いつまでも綺麗ねえ、ティンティンは。7、8歳くらいにしか見えないわ、とおっしゃったので、ロザンナさんはそれ以来、ティンティンを8歳と思うようになったのです」
「綺麗で毛並みの見事なネコだったものね。私もそう思い込んでいたんだ」
「ロザンナさんの最期まではなんとか生きていてもらおうと、獣医さんもいろいろ手をつくして大変でしたの」
「待てなかったんだな、ティンティンは。ご主人のために頑張ったんだろうけど」
「綺麗でやさしいティンティンは私にもとってもなついてくれたし。わたしの気分もなごませてくれましたわ」

医者は考えているふうだったが、やがて真顔で聞いた。
「アンナ、立ち入ったことを聞くようだが、ロザンナ夫人が他界したあとは、あんたの将来はどうなるんだね?あんたは看護婦の資格も持っているそうだし、新しい勤め口を探すくらい私だって力になれると思うよ。老バルビエーリが死んで、私が代わりとしてくることになり、まだ5日しかたっていない。でも君の献身的な介護ぶりは胸をうつものがあるんだ」

アンナは感謝の眼差しで医者を見た。やがて・・・
「・・・ロザンナ夫人のお孫さんが亡くなってしまって、わたしが今では唯一の身内の者なんですって。2ヶ月前、私が勤めていた老人ホームに、ロザンナ夫人の知人が訪れて、身内の老婦人が病床で先も長くないから、看病に携わってほしいとおっしゃたのです。それでこのお屋敷に伺いましたの。そして弁護士さんから、私がたった一人の相続人だと聞かされたのです」

医者は驚きを隠せない。
「そうだったのか。まるでシンデレラ物語だな」
医者はしみじみと娘を眺めた。
全く化粧はしてないが、顔立ちの整った品のある娘だ。

「あたし、ロザンナ夫人に何とお呼びしたらいいのかしらってお聞きしたら、ロザンナと呼びなさいとぶっきらぼうに言われましたの。無理もありませんわ。わたしたちは他人と同じようなものですもの。書類上の身内なんて何の意味もありませんわね。そのときはまだ夫人は頭もはっきりしてらして」
「そのうちボケがひどくなってきて、ネコの面倒を見てくれるお礼に、莫大な資産を全部プレゼントするんだなどと・・・」
「先生、お金持ちになるって、そんなに重要なことなのでしょうか。お金がたくさんあっても不幸だったり、惨めな一生を終えた方も、たくさん見てきましたわ」
すると医者は笑った。
「そんな屁理屈言わないで、もっと驚きと喜びを感じてほしいもんだね。私も名乗りを上げればよかったよ。おばあちゃま、覚えていますか僕のこと?あなたに会いに40年ぶりにニューヨークから戻ってきたんですよって」
娘は微笑んだ。
「ロザんナさん信じるかもしれませんわ。でも弁護士さんが・・・」
「弁護士もボケてくれないとね」

「先生、ロザンナさんがティンティンはもう死んでしまったことを知ったら・・・あたしそれが辛くて」
「私にもどうしていいか分からんのだよ。君が心をつくして看病するしか方法はないと思うよ」

医者が帰ったあとアンナは寝室に引き返した。
看護婦と家政婦が老女の体を洗い、シーツを変え終わったところだった。
薬が効いているらしく老婦人はうつらうつらしていた。

看護婦や使用人が出て行った後、アンナはベッドの傍らに腰を下ろして窓の外を眺めた。
赤い西日が高い窓枠を染めていた。

本を読む気にもなれず、過ぎ去った出来事が脳裏を横切った。
自分はこの屋敷に送られてきた。
自分は唯一の遺産相続者なのだそうだ。
それがどういうことなのか実感が今でも湧かない。
わたしは小さな2部屋のアパートさえ持てなかった両親の、貧しい育ちなのだ。
死もま近かな老女が目の前によこたわっている。
こんなちっぽけな、今まで会ったこともない娘が,唯一の身内であることを受け入れなければならない老婆・・・


「ティンティンは・・・?」
目をさました老婆はつぶやいた。

あの・・・アンナは言葉につまった。

「ティンティンは19歳だものね」
老婦人が天井を見つめたままぽっつり言ったたので、アンナはぎくりとした。

老婦人はティンティンのことをそれ以上聞こうとはしなかった。
彼女はまじまじとアンナの顔を眺めていたが、やがて力なく手をさしだした。
アンナはそれをやさしく受け止めた。
骨ばった皮だけの手だったが、わずかの温もりを通してはじめて老婆との交流が出来たことが嬉しかった。
手を握られたまま、老女は再び眠りに落ちて行った。



その夜・・・

「先生、こんな夜更けにお電話して申しわけありません。ロザンナさんが亡くなったのです」
「え?すぐにそちらに向かうからね。気を落ち着けて」


「とっても穏やかな顔だね。まるで気持ちよくお昼寝をしているようだ」
「昨日先生が帰られて、ベッドのところにいましたら、ロザンナさんが目を覚まされて、『ティンティンも18歳だものね』って。あたしびっくりしてお顔を眺めたけど、何かいつもとは違っていたみたい。しっかりとわたしの顔をみていらしたわ。そして、手を差しのべたので、わたしもにぎり返しました。ご自分からそんなこと一度もなかったのに。そしてそのまま眠ってしおしまいになったの。そのうちわたしもうとうとっとしてしまったけど、目が覚めたとき冷たくなっていたのです」

「ともしびが消える直前に一瞬の正気をとりもどしたんだな。そして君のことをみとめたんだ。おばあちゃんもネコも最後まで生き抜いて、至福の死をとげた。さあ、これからは君の新しい人生がはじまろうとしているんだよ」(K)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひとこと 数年前に『おくりびと』というすばらしい映画が評判になりましたが、タイトルがとてもきにいったので、『おくりねこ』で書いてみました。k

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 03:37 │Comments4 | Trackbacks0│編集│▲

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| 猫が語る10の物語 | 21:14 │Comments0 | Trackbacks0編集

jiji tytol

「あれっ、また食べられちゃったよ」
ドロの奴、よっぽどお腹をすかせてたんだな。でも何たって厚かましいよ。よその家にずかずか入って来てさ、ボクのご飯をぺろっ平らげて、ぎょろっとボクを睨んで出て行ってしまうんだもの。バスルームのドアの下にボクのご飯があるんだけど、律子さんが足許見てギョッとしたのも当然だよね。柱の陰でボクがぼけっと見てるので、律子さんはそれにも腹をたててしまうんだ。
「ジロったら、何て情けない子なの!『これはオレのご飯だよ』って、どうして立ち向かって行かないの?あんたのママって、とっても気性が激しかったと聞いているけどね」 


 ご主人のチェーザレ氏が出張から戻って来た。
大きなスーツケースをどんと玄関に置くと、僕を抱き上げてくれる。そしてタワシみたいな頬を僕の顔にすり寄せて言った。
「ジロ、留守の間もいい子だったかい?」
 律子さんは待ってましたとばかりまくしたてる。
「あなた、あの泥棒猫のこと憶えてる?ほら、ここまでずかずか入って来るんだから。信じられる?きれいに食べてしまって、『もう、喰う物はないのかよ』と言わんばかりにあたしを見上げるの。スリッパを振り上げたら、すごい形相でハーッと牙をむくので、ぞっとしたわ。それから我がもの顔でゆっくりと出て行くの。完全になめちゃっているのよ」
ジロ 1

 誰だってドロを見たら怖くなってしまうよね。 顔半分黒であとの半分が白で、鼻のところがぐちゃぐちゃっとした感じで、うす気味わるい緑色の眼で睨まれたら、震え上がってしまう。
 チェーザレ氏はびっくりしたような、面白がっているみたいに聞いていたけど、
「入って来れないようにドアを閉めてしまえば、簡単じゃあないのかい?」
「いつもってわけにはいかないわ。ジロは外に出たり入ったりするのが大好きなの。お庭で遊んでいると、お友達も来るようだけど、ドロがやってくると、みんな早々にどっかへ行ってしまうみたい」
「入り口の所に毒入りケーキでも置いといたらいいだろ?」
「ばかねえ。ジロが食べてしまったらどうするのよ?」
「そうだな、ジロもぼけっとしてるから、喰ってしまうかもしれないね。そののドロってやつは野良猫なのかい」
「そうじゃないのよ。れっきとした飼い主がいるの。いたって言うべきなのかしら。ワイン店の横を入ってつきあたりを右に曲がったところのアパートに住んでいるガティーニっていう家の猫なの。ワイン店の若主人がそんな話をしてくれていたとき、偶然、当のガティー二の奥さんがお店に入って来たの。そこで、あたし勇気出して言ってやったのよ。
『お宅の猫らしいドロ・・・いえ、名前は知らないけれど、我が家にどかどか入って来て、うちの猫の餌を食べちゃうんで、困っているの。お宅では充分餌を与えていないのですか?』って言ったら、『ああ、ダヴィデのことね.我が家にもいたことがあるけど』なんて、他人事みたいに言うの。(へえ・・・ダヴィデって名前?まあ、あんな猫にもったいないわ)
『ダヴィデはもううちの猫ではないんですよ。行儀が悪いし、性格も良くないから、追い出してしまったんですよ』なんて、放蕩息子でも追いだしたような言い方をするの。籍は外してしまったんだから、もう関係ないって感じでね。
『でも、お腹が空いたら戻って来るのではないのかしら?』
『どんなに欲しがっても一切与えないのよ。家では台所以外は絶対食べ物を置かないことにしています。それにいつもドアを閉めていますからね。そのうち猫のほうが諦めて寄り付かなくなったの。お宅もそうなすったら?』なんて、しゃーしゃーして言うのよ。
『我が家ではドロって呼んでいますの。泥棒のドロのことよ』って言ってやったけど、話していてしまいには馬鹿馬鹿しくなったわ。」
 聞いているチェーザレ氏がげらげら笑うもんだから、律子さんも吹き出してしまって話にならないのだ。

             *

 ローマに住んでいるチェーザレ氏のお兄さんの子供がやって来た。
 まだ小学校の2年生。 日曜日の朝、チェーレ氏が飛行場へ迎えに行って、連れて帰って来たけど、『ステファノ、疲れたかい?』、『ステファノ、何が食べたい?』、『パパとマンマと別てて寂しいだろう?』などと、ものすごい可愛がりようなんだ。お母さんがおばあさんの看病に行ってるし、お父さんは仕事で夜も遅いので、ここに一週間ばかり預けられることになったのだ。
jiro 2

 ステファノは長い睫毛のとっても大きな眼して、その上度の強い眼鏡を掛けているので、顔中、眼がいっぱいという感じだ。
 彼は大切そうに、小さなヴァイオリンを抱えていた。
「聖チェチリア音楽院で、アルビノーニの『アダージョ』を聴いて、バイオリ二ストになることに決めたの」と幼い少年が、ちょっとませた口調で言う。
「ほう、すごいなあ、兄貴からそんなこと聞いてはいたけど。練習を始めてもうどのくらいになるんだい?」
「3週間とちょっとくらいかな」
「ふーん。じゃあ、食事が終ったら聴かせてもらえるかい?」
「もちろん、人に聴いてもらうことはとってもいいことだと、先生も言ってたから。みんなの感想も聞きたいし」
と、また、ませた感じで答える。
jiji mozart

 お昼の食事が終って、みんなはサロンに移った。小さなステファノはヴァイオリンを取り上げて、くそ真面目な顔になり、譜面を見ながら重々しく弾き出したのだけど・・・キーッと鳴り出したとき、チェーザレ氏と律子さんは思わず顔を見合わせた。それからキィッキィッキィーツと始るヴァイオリンの音に、二人は耳を塞ぎたい気持ちになっているのがわかった。でも我慢して聴いている。本人は一生懸命だから聴いてあげないとね。
 音楽がちょっと中断したとき、すかさずチェーザレ氏が言った。
「すごいなあ、ステファノは。将来は大ヴァイオリニストだな。アルビノーニの『アダージョ』って、とってもいい曲だね」
「これは、『アダージョ』ではないの。先生が、まだ僕には早いって言うから。これはね、モーツアルトの初歩のための練習曲なの」
 律子さんが吹き出したいのをかみ殺して苦労している。『この人ったら、イタリア人のくせに、アルビノーニのアダージョも知らないんだから』

 ステファノは、我を忘れたように弾き続けるのだ。回りのことなんか何にも頭にないって感じ。律子さんも、『この子、偉いわねえ、根性があるわ』と感心して眺めている。

 玄関のベルが鳴った。
 律子さんが出てみると,お隣のリーザおばあちゃんが微笑んで立っていた。
両手に大きなチョコレートケーキをのせて。

「おい子さんがローマからいらしたのね。いいわねえ、にぎやかになって。はい、これをみなさんで召し上がって。今朝、娘が来て作ってくれたのよ」
「まあ、素敵。主人の大好物よ。さあ、リーザさん、入ってくださいな。コーヒーでもいかが?」
「いいえ、これで失礼するわ。・・・バイオリンを弾いているのはおい子さんなのね?今までは聴かなかったもの」
「そう,意外と真剣にやっているみたい。ローマではちゃんと先生についているんですって」
「偉いわねえ・・・ところでお願いがあるのよ。気にしないで聞いてちょうだい。甥子さんのヴァイオリンのことだけど、しばらく滞在されるんだったら、弾くのは朝と夕方にして頂けないから。午後からは、ほら、おじいちゃんがお昼寝をするでしょ。だから・・・」
「わかったわ。ご心配なく。すぐに止めさせますわ。」
 おばあちゃんは、ほっとしたように帰って行った。

 リーザおばあちゃんはとっても柔和で感じがいいけれど、おじいちゃんの方は、律子さんも一寸敬遠ぎみなのだ。挨拶をしても返事がかえってこないこともある。おばあちゃんの話によると、おじいちゃんは極度の神経痛らしいのだ。2軒はあまり離れていないので、律子さんは窓を開けているときは、テレビのボリュームなども、いくらかは気にしているくらいなのだ。

 朝の散歩から戻って来ると、ちょうど僕の食事の準備が出来たばかりだった。
「ドロが来ないうちに早く食べてしまうのよ。ジロ、わかった?」などと律子さんは言い、出かけてしまった。
 ボクが食べようとしたときだ。・・・ふと振返ると、ああ、やっぱり。ドロが怖い顔をしてボクの鼻すれすれに顔を近づけていたので、震え上がってしまった。
「ほらね、君のために手を付けないで取っておいたんだよ。どうぞ」

 ボクが身を引く前に、ドロはもうガツガツと食べはじめた。ガツガツ、ガツガツ、凄まじいなどというものではない。怪物のようだ。ボクは柱の陰から,息を潜めて眺めているだけだった。
 そして、半分くらい食べてしまった頃だ。
じじ

 キィッキィッキイッと、ステファノのヴァイオリンの音が、サロンから聞こえてきたのだ。例のモーツアルトの練習曲が。
 ドロのガツガツがぴたりと止まった。酔ったように、頭を上げて聞き耳を立てているようだった。ドドソソララソー、ファファミミレレー・・・
 あれ?ドロはいきなりドアの方に向かって猛烈な速さで突進した。そして、食べたものをゲーゲー吐き散らしたのだった。
ヴァイオリンの音色がキィッキィッキッィッと、まだ聞こえてくる。ドロは気が狂ったように体をよじって、走り去っていったのだった。
rituko fb

 次の日、ドロは午後にやってきた。
 僕はサロンの絨毯にうずくまってお昼寝をしていた。律子さんはソファーに横になって本を広げたまま眠っている。
 僕は眼を開けた。
あ、又来た。ドロはしなやかに窓から律子さんの頭の上を飛び越して僕のお茶碗のある所へ直行し、いつものようにガツガツと食べ始めたのだ。
 突然・・・あれ?不思議!また、あのキィッキィッキィッのヴァイオリンの音が聞こえてきたのだった。
 きらきら光る、お空の星よ・・・
律子さんがヴァイオリンに合わせて小声で口ずさんでいたっけ。とっても素朴で、快活なメロディー、モーツアルトの可愛い練習曲。小学校の音楽の時間を思い出すわねェ、なんてつぶやいてたけど。なのにドロったら、悪魔の暗示にでも掛かったように、食べるのを止めて、苦しそうに喘ぐように首を動かすのだ。。
ヴァイオリンの音に飛び起きた律子さんは、混がらがった頭で、天井を見上げている。律子さんはソファーから飛び降りると、階段を飛ぶように上って行った。
じじ
「ステファノ!よーく言ったでしょう」
 律子さんのちょっと厳しい声が聞こえてくる。
「お隣のおじいちゃんがお昼寝するから、午後は絶対、ヴァイオリンを弾かないでって」
「ごめんなさい、リツコ叔母ちゃん。ボク、そんなつもりではまったくなかったの。ボクもお昼寝してたんだけど、ぱっと目が覚めてね、衝動的に弾きたくなったの。自分でも分からないの。どうしてそんな気持ちになったのか」


翌日1日中ドロは来なかった。
 ボクはすっかり安心してしまった。もうドロは来ないのだ。ドロはステファノのヴァイオリンの音が嫌いなのだ。ステファノの奏でるヴァイオリンは、ドロにとって、呪いの音なのだ、きっと。
 ステファッノがローマに帰らずに、もっとここにいてくれたらいいのになあと思う。
「ジロはこの頃、ぱっぱっと食べてしまうので助かるけど、時々吐いてしまうみたいね。慌てないで食べるのよ。胃が普通よりもちょっと上の方についているんだから注意しないと。ところで、この頃ドロを見ないわねぇ」

 でも・・・3日後にまた、ドロがやってきたのだ。夜の一時もとっくに過ぎた頃に。
 ボクは、サロンのソファーの上で眠っていた。気配を感じて眼を開けると、廊下に灯された小さな電灯の下を黒い陰が通りすぎた。やがてボクの食べ残しをガツガツと食べている音が微かに聞こえてきたのだ。

 そのとき・・・おや?
 例のきらきら星のヴァイオリンが、静まり返った深夜に響いて来たのだ。
 ガツガツはぴたりと止まった。ドロの唸り声を聞いたような気がした。そして、ゲーゲー吐き散らす音までが。やれやれ、また、律子さんに叱られるのはボクなんだ。そして彼女『ジロを獣医さんに一度見せたほうがいかしら』って思うかもしれない。
JIJI

 ヴァイオリンはまだ鳴っている。夫婦の寝室は2階にある。ステファノの寝ている小さな部屋の隣だというのに聞こえないのかな。何と、お隣のおじいちゃんの方が先に眼を覚ましてしまったのだ。

「うるさい!気違い小僧、ポリスを呼ぶぞ!」

 おじいちゃんが怒鳴っている。やっと律子さんが眼を覚ましたようだ。けたたましい足音。
「ステファノ、どうしたのよっ!頭がおかしくなったの!真夜中の2時っていうのに!」
「ごめんね、リツコおばちゃん。自分でもさっぱりわからないの」
「真のアーティストには時間の観念がないのだ。ステファノは世界的なヴァイオリニストになるぞ!」
チェーザレ氏が大あくびをしながら叫んでいる。
JIJI
      

 ステファノがローマへ帰る日が来た。
チェーザレ氏がお土産をいっぱい買ってあげたので、来たときよりも3倍くらい荷物が膨れ上がってしまった。
 チェーザレ氏のステファノの可愛がりようにはおどろいてしまう。たった1週間の滞在だったけど、ルナ・パークや,この街で一番美味しいピッツェリアに連れて行ったり、あれやこれやの持てなしなのだ。
 でもステファノは、それほどうれしかったのかなあと、ボクは思ってしまう。
beethoven 2-1

『広場で子供達がサッカーして遊んでいるわよ。ステファノもやってきたら?』
『ううん、ボク、ローマに帰るまでに、この『ベートーヴェンの生涯』読み終わってしまいたいの』って調子なんだもの。

「夫は今、ステファノを飛行場まで送って行ったの。何しろ甥への愛情はすっごいのよ。チェーザレは小さいときに両親を無くして、お兄さんに自転車で毎日小学校の送り迎えしてもらってたのが忘れられないんですって。イタリア人の肉親への絆の強さといったら、あたしたちには信じられないくらいよ」
 律子さんは電話でそんなことを話している。
 ボクはといえば、ステファノがいなくなったら、またドロがやって来るだろうな、などとこわごわ考えてしまうのだ。


 ステファノがローマに帰ってしまっから、十日くらい経った。幸いにしてドロはやって来ない。やっぱりあのヴァイオリンに懲りたのだな。きっと。
 夕暮れも真じかだった。
 ボクが散歩の帰り途、煉瓦造りの塀の上を歩いていたときだ。
 道の反対側の植え込みから、いきなり黒い影が飛び出してきて、塀の上に飛び上がったのだった。なんとそれは忘れもしないドロだった。やがて彼の形相が変わった。両の眼が、緑の炎のように燃え上がった。
 ドロ、お願いだからそんな怖い顔でボクを見ないでくれよね。
 お願いだから・・・ドロの毛はハリネズミのように膨れ上がった。そして醜い顔に牙をむき出してハーッと・・・ボクは後ずさりした。きっと殺されるだろうと思った。
 でも後ずさりしたのはボクだけではなかった。ドロはいきなりきびすを返すと塀を飛び降り、矢のような早さで逃げて行ってしまったのだ。
 赤い夕陽の中に消えてしまったドロ・・・僕、どうしても信じられないよ。(完)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひとこと サロンの家具の位置が変わったために、飼い猫が不機嫌になったり凶暴になったり・・・家族の団らんの笑い声が大嫌いなネコもいるそうです。そんな話を読んでいて、この物語の案が生まれました。K

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| 猫が語る10の物語 | 22:54 │Comments0 | Trackbacks0編集

koiwa


日本から訪れた新婚さんを夕食にご招待。
新郎は東京のF広告代理店の友人の後輩だ。

新郎クン「おせんべいお好きですか?」
ボク「もっちろんだよ!」
「よかったーっ。おみやげ、なんにしようかと迷ったんだよねェ~」
新婦サン「そうよねえ。外国にいらっしゃるから、やっぱり日本の味がいいんじゃないかしらってねェ・・・」

「ハイッ、これ、つまらんもんすがっ!」
「アッリガトウッ!」
嬉しそうな顔しないと。
こんなにかさばるもの(靴でも入りそうな箱)を、地球の裏側からわざわざ持って来てくれたんだもん、失望させてはいかんって気持ちが先に立つよね。

 でも、正直言うと・・・その季節はどうしたわけか。魔?のセンベイシーズンなのであった。
 次から次ぎへと届くお土産のおせんべいを、一日中バリバリ、バリバリ。
 駆け出しフリーランスの閉じ込められた毎日。ついつい食っちゃう、バリバリッと。
 こういうのを意地汚くなるっていうのかね、バリバリッ。
 口の回りに吹き出しものができそうだ。

 でも、告白しよう。ボクはもともとは大の甘党なのであった!

大丸地下のはかり売りダイフク待ってんだーァ、オレは!!
 でも、悲痛な叫びは地球の裏側までは届かないのだ。

                     *

 新婚サンが帰ったときは、もう夜中の一時を回っていた。
 ともかくガバガバっと包装紙を解くと、
『小岩の手焼きせんべい』と力強い書道が眼に飛び込んできた。
 箱を開ける。
 びっしりと詰まった大型せんべいは、漆喰の黒光りした浅草海苔で完全武装された超高級品なのであった。今までにもらったのもの中でも、超高いのは間違いなしだ。こんなにいっぱいノリ使ってるなんて勿体ないなァなんて気も。

 ガワ(海苔のところ)をはいで口にもっていく。美味しいなつかしい。その頃は商社マンならともかく、われわれ貧乏アーティストにこんな高級品、気ままに入って来る時代ではなかったのだ。
 ノリだけはがして、むしゃむしゃやっていたら、誰かにじーっと見られている気配を感じた。

 寝室のドアの隙間からチビが眠そうな顔で、こっちをみている。兄貴のパンに寄り添って熟睡しているはづのチビは、夢遊病者のような足どりで近づいてくるのだ。
 ボクの足許までくると、しきりに鼻をクンクンやっていたが・・・
 いきなりジャンプで、エイッ、ボクの手から、両手でノリを奪い取ったのだ。そして一気に食べてしまった。あっと言う間の出来事。そして次を待っている目は真剣だ。

「自分だけオイチイモノ食べてるなんて、ズルイッ!  ミャーオ」
 生まれて5ヶ月しかたってないチビ。
 またガワをはいで与えると、しっつこくお変わりを要求する。
中身(せんべい)も喰わせようとすると、そっちの方はしっつこく拒否する。
 こいつ、ぜいたくな。
 浅草ノリに胃と魂を奪われたイタリアンネコ。
それにしてもだ、隣の部屋で熟睡しているのに、ノリの匂いを嗅ぎ付けるとはねえ。
ノリ助,お前すごいぞ。
あ、名前が決まった。
 『ノリ助と命名しよう』
えーとーっ、イタリア語では海藻のことを何て言ったっけ。
 ア、ル、ゲ。
 うーむ。悪くない。イタリア人には『アルギーノ』だ。
「アルギーノ、もう寝るんだ。おかわりは明日」

 騒ぎ?で夢を破られたパンが、でっかい図体で、これまたよたよたとドアから出てきた。
「あれ、お前もかい?、遅れる猫はもらいが少ないって言うだろ。でも、一切れだけなら」

 兄貴ネコは鼻をクンとやっただけで、
『コレって、真夜中にぎゃあぎゃあ騒ぐほどのモノなの?』
 そしてのろのろと寝室へ戻って行った。(K)
nori

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イタリアに来て初めて飼ったのがキジのパンでした。でもボクがたびたび留守をするので可哀想で、1年後に同じ母親から生まれた子猫をもらってきました。それがノリ助です。我が家にもらわれてきたノリ助はネズミのように家の中を走り回り、追っかけるパンは噛み付いたり、投げたり悪さを続けていたけど、翌朝ボクがサロンに入って行くと2匹は抱き合って寝ていました。それからはいつも一緒、とっても仲良しでした。でもパンは手術をしていなかったので、エネルギーをもてあまして、とうとう出て行ってしまった。ノリ助はすっかり元気を失い、食欲もなくなり、大好きだった浅草海苔もまったく食べなくなりました。そして10日ぐらいたって、雪の夜、ノリ助も出ていってしまいました。うまくパン兄貴に巡り会えただろうかと、そのことばかり考えている日が続きました。涙、涙で、もう絶対にネコは飼うまいっと決心したのですが、今のホフィは5匹目です。(笑)

| 猫が語る10の物語 | 15:51 │Comments0 | Trackbacks0編集


恐怖の大晦日


クリスマスも終って一段落ついたはずなのに・・・

年越しも近くなると、我が家の女主人はまたまたそわそわしてくる。
「やっぱりアンティパースト(前菜)は3種類はなくてはね。そしてプリモにポルチーノのリゾット、そのあとは・・・ああ、ありふれたものばかりだわ。今年は趣向を変えてみようかしら・・・・」
「ねえ、君、年越しパーティをまた我が家でやるのかい?ロッシの女房が引っ越し祝いに、今年は自分ところでやりたいって言ってたじゃあないか」
「無理よ。あんな小ちゃなアパートでは。今年はカップルが多いから12人くらいになるの。それに加えて、あなたの弟夫妻もローマから来るかも知れないし・・・」
「やれやれ、年越しくらい静かにノンビリと過ごしたいよ。大騒ぎはテレビだけで充分だ」

とにかく、大晦日のパーティーは今年もこの家で。
ボクは憂うつになる。動悸が早くなってくる気がする。
一年中で一ばん嫌いな怖ーい夜が訪れようとしているのだ。

31日は朝から、お手伝いさんも特別出勤して、ごちそうの準備。
すごいよねえ。14人分なんだから。
夜,9時前後から、客達は次々とピンポーン!とチャイムを鳴らして、手みやげを持って現れる。ご婦人達はめかしこんでいるけれど、男性はノーネクタイがほとんど。


                    〜

ああ、それにしても懐かしいクリスマス。

クリスマスの昼の正餐会はよかったなあ。
ミサにあずかった後、家庭の一同が集って・・・スキーに行くために欠席、などという我が侭は許されないで、家族以外の人間といっても、独身を貫き通した叔母さんとか、従兄弟くらいだから、本当に『身内だけ』の集いなのだ。
お腹いっぱいになったら、今度はプレゼントの交換。
猫が見たって下らない物ばっかり。
嬉しそうに開けて喜びと感謝のポーズをしたりされたり。
全員、すごく上手に演技する。毎年だから、演技もだんだん訓練されていくんだよね。
でも、見てて楽しいんだ、これって。
そのあとトンボンというゲームをやったり、みんなそろって広場の『キリストの誕生』のペルセピオ(雛人形)を見に行ったり・・・・ちょっぴり宗教的で悪くないなあ,クリスマスって。
ボクも美味しいものいっぱい食べて(クリスマスにしか出ないさい最高級のムースだって、たっぷりとね。旦那さんはちょっとつっついただけで、ぼくにまわしてくれるんだ)、あとは窓辺で、雪景色を眺めながら、うとうととする・・・

                       *


でも,年越しパーティは様子が変わってくる。
スキーに行ったりディスコに行ったりで、残された夫妻はのんびりとテレビを見ながら過ごすって家庭も多いらしいけど、レジーナさん(ここの女主人)は、まだまだ若いのだ。大勢集って、食べて喋って人生を謳歌する年齢なのだ。
彼女、まだ39才だけど、30過ぎにしかみえないのが自慢。
旦那さんはおっとり型の42才。

数年前までは、大晦日にはレストランに行ってたのだ。
レストランの中は溢れんばかりの客達。人息で気がふれんばかりだったとか。
だから年越しのレストランはご勘弁,ということになったらしい。
「我が家で騒ぎましょうよ。カップルだけで」
物静かなご主人シルビオさんの、無言の抵抗もなんの、パーティを始めたのが3年前からなのだ。

そして,今年も。

男も女もよく食べるなあ。
そしてよく喋ること。そしてよく飲むこと。
「飲酒運転の規制がきびしくなったんだってさ」
「交通取り締まりはどうせエピファニア(1月6日。冬休みの最後の祭日)後だろ。今夜はうんと飲まなきゃあ!」

3種類のアイスクリームとケーキが終った頃には、すでに11時55分をまわっている。
旦那さんはバルコニーに出してあったシャーペーンを取って来て栓を抜く準備をする。
奥さんはテレビのスイッチを入れる。どのチャンネルもばか騒ぎのショーばっかり。
彼らは刻々と迫る新年を待機している。

あと、6秒、あと5秒、4、3、2、1!
シルビオさんが、ポーンと栓を抜いた。タッポ(栓)は勢いよく天井まで飛び,跳ね返って花瓶の中に。
開け放した窓からドードードーンと爆音が。ボクは、一瞬、五感が麻痺し、体がふわりと宙に浮いた。

そして又、ドドドーン!
つんざくような、脳の奥までショックを与える爆音。目が回る。視界が白くなってくる。
「まあ、きれい!これを見なきゃあ年越し気分がでないわね!」
「ほんとだ!それに年ごとにエスカレートしてくるみたいだ。すっごく大掛かりだ」

サロンの窓をいっぱいに開けて、感嘆の叫びが続き、客の溜め息が漏れる。

ドーン、ドーン

「あ、今度は広場の方からだ」
彼らは、一団となって寝室の方に移動する。そこからテラスに出られるようになっている。
乗り出して、白い息をハーハー。
大人の花火鑑賞なのだ。

ドーンドーン。

「すっげえ!火の粉が家の中まで入って来そうだ」
そして、またどやどやとサロンに移動する。そんなことを繰り返す。
ボクはといえば、うろちょろヨタヨタしていたが、やっと家具の隙間に紛れ込むとうずくまった。
ああ、この地獄はいつまでつづくのだろうか。

ドドーン、ドドーン!

               
                 *

「もう、2時半を回ったわ。ああ,疲れた。明日は寝たいだけ寝てていいのよ」
奥さんは化粧を落しながらしんどそうに呟く。
「そうこなくちゃあ」

先にベッドに横になった旦那さんが、奇声を上げて飛び起きた。
「臭せえっ。メルダ!」
『ほんとだ。強烈だわ。どこからかしら?ねえ、ちょっと起きて見て!」

KYOUFU
               
                
「あっ、ここだっ!!」
「まあ、マックスったらなんて子なの。こんなこと初めてよ」
「花火でショック受けたんだよ。哀れな老マックス・・・」

普通ならちゃんと砂箱のなかで・・・だのに、ボクはベッドと壁の隙間に逃げ込んだときにやっちゃったらしいのだ。
精神分裂を起こした哀れな老ネコ。
肉体と魂は急速に衰えていく。
マックス、お前、もうおしまいだ。

「それにしても、随分立派なのやったなあ。マックスは」
旦那さんが感心している。そして彼は叫んだ。
「これぞ、幸ウンの印!2016年はきっといいことがあるぞ。ブラヴォー、マックス!」
意外なことでお褒めの言葉を頂いた。

「あれっ、こいつテレビの後ろにもやってらあ」
「サイドテーブルの下にもやってたわ」
そうなんだよね。ボクは4日間も『幸ウン』を家中まきちらした。
そして分裂症は正月5日になってやっと回復したのだった。

ふっと、ホシムクドリのおじいさんとの話を思い出した。

『花火こそ、われわれホシムクドリを衰退させる最高の恐怖じゃ』

ミランが勝ったから、インテルが勝ったから・・・・ワールドカップで勝ったから・・・・

歓喜のドドドーンで、心臓マヒで何万というホシムクドリが命を落すそうだ。

旦那さんはボクを抱き上げながら言った。
「マックス安心しろ!もう、大晦日パーティーは禁止だ。田舎に行って静かに年を超そうよな」
「まあ、そんなのって・・・・」不満顔の奥さん。
「可愛そうだよ。マックスが」

やさしい。
そんなこと聞くと、もっともっと長生きしたいなあって気持ちになっちゃうよね。

(K)

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作者の一言/これは5年前に書いたものです。大晦日のドンチャンさわぎは下火になってきているようです。このごろは高級レストランもメニュー均一のところが多くなっています。ロンドンに住んでる日本人の学者は宇宙放送で毎年『紅白歌合戦』を見るのがとっても楽しみと言ってました。

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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