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猫・ショートショート/あと70話
ヴォーペと『テーブルの真ん中』(2)

vo2


ロビーはとってもヴォーペが気に入って、自分のベッドで寝かせたいと駄々をこねたため、両親に止めたれて、しぶしぶ納得したくらいでしたので、ヴォーペがまだ帰って来ないと分ったとき、声をあげて泣きました。

「もしかしたら森に帰ってしまったかもしれないよ。もしそうならヴォーペにとって、とてもいいことなんだ」

夫妻は食事が終って、懐中電灯を持って、探しに出かけたり,10軒足らずのご近所に聞きに行ったりしましたが、誰もヴォーペのことは知りませんでした。

マリアさんの膝の上で、泣く泣く寝入ってしまったロビーを、二階の部屋に運びこんだあと、夫妻は暫くの間、テレビを見て過ごしました。もしかしたら、ヴォーペが帰って来るかも知れないと思ったからです。

翌日の朝、最後の星が消えてしまうちょっと前のころ、私は眼がさめました。
そして、ドアのそとで動物のなく気配がしたのです。ちょうど早起きのマリアさんが階段を降りてきたので、台所のドアを開けたときです。
ヴォーヴェが座って彼女を見上げているのでした。

「あらあら、帰って来たのね。一体何処に行ってたの?」
マリアさんはヴォーペを抱き上げて言いました。子キツネはよっぽど疲れていたようでマリアさんの腕の中で寝てしまいました。ロビーが目を覚ましてどんなに喜んだかは想像することも出来ないほどです。

ある夜・・・
もう皆が寝静まった頃、ヴォーぺだけが眼を覚ましてしまい、台所の中を、落ち着かずに歩き回っていました。
ついに棚の上の鍋まで落っことしてしまったので、マリアさんはびっくりして、二階から降りてきました。
ヴォーペはドアの前に座って、女主人の顔をあどけなく見上げています。

「ヴォーペったら、また出て行きたいの? 朝になったら帰ってくるんだよ。ロビーが悲しがるからね」
マリアさんがドアを開けると、ヴォーペはじっとマリアさんの顔を眺めて『ありがとう』というように、クンクンと鼻をならして、真っ暗な中に消えて行きました。

そんなことが、毎夜ではありませんが、ひっきりなしに起こるようになったのです。家族は別に心配はしてないようでした。日中は、全く私たちと変わりない、『いい子』なのですもの。

小さなロビーは、子犬にするように首に皮輪をつけて、散歩に出かけるのが日課になっていました。ヴォーペもあっと言うまに成長していったので、父親のフェデリコさんが、抱いたままで外へ出ることを禁じたからです。
近所の子供達がヴォーペを見に来ることもありました。彼は何処にいっても人気者でした。

でも、私は知っていたのです。そのうち、きっと何かが絶対に起こるってことを・・・

ついにその日が来ました。
ヴォーペが朝帰りして箱の中でいい気持ちで休んでいるとき・・・私たち親子や子犬はもう起きて朝食をとっていました。
いきなり乱暴に車が止まった気配で、マリアさんは外へ飛び出しました。ドアの外には太っちょの男が立っていました。

「まあ、こんなに朝早く何事ですか?」

 男は大声でまくしたてました。
「やっと分ったんだよ。犯人が!」
 男はここから小さな丘をこえたところにある養鶏所の主人なのでした。

「鶏が一匹ずついなくなるのが気が付いたとき、わしは数え間違いかとおもっていた。ところがどうだ。わしの算数が間違っていないことが分ったとき、わしは泥棒を懲らしめてやろうと、昨日は夜中中待機してたんだ。そしたら、なんと、それは人間ではなく、黄色い動物だったんだよ」

「そのキツネは赤い首輪をしていた。首輪をしたキツネもちょっと変だが、絶対に犬でもイノシシでもない、近所に訪ねて歩きまわったら、あんたの所でキツネを飼っているって聞いたんだよ。どこにいるんだ、泥棒キツネは!」

「まだ、寝ていますよ。(朝帰りだったのでね)」

マリアさんはヴォーペの寝ている笹の箱の所に様子を見に行きました。そのとき、ヴォーペは人の声で眼が覚めてしまったのでしょうか。切れ長の眼をウッすらと開けて、ご挨拶をするように蒼い瞳でじっと女主人を見ているのでした。その口元には血の痕がついていました。

                         *

ヴォーペをあれ以来見ることはありません。何処に行ってしまったのでしょうか。
いいえ、どこに連れて行かれたのでしょうか。

幼いロビーは,毎朝目が覚めると、
「ヴォーペ、帰って来た?」と聞くのです。
「ヴォーペはきっとマンマのところに帰っていったんだよ」

数日経ってわたしは4匹の赤ちゃんを産み落としました。
私のようなキジ猫や、真っ黒なのや、毛の色はそれぞれでした。

「ロビーィ、起きておいで、『テーブルの真ん中』の赤ちゃんが生まれたんだよ」
ロビーは、階段を駆け下りてきました。

小さな赤ちゃんが、私のおっぱいを吸ったり、ごそごそ這い回っています。
「あ、このネコ、ヴォーペみたいな色してるね。ボク、ヴォーペって名前つけようかな」
「いいとも」
おとうさんは、ニコニコして答えました。

そして私も数日後には、また、テーブルの真ん中で眠れるようになったのです。(K)


| 猫.cats,gatti 100の足あと | 05:25 │Comments2 | Trackbacks0編集

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コメント

コメント有り難う。
狐は可愛い子ギツネのつもりで書いたんだけど、充分ではなかったnoかな。
体臭が強いなんて聞かなかったけれど。(飼った家族の話)
イラストは素早くさっと描き上げた。これからもこのタッチをときどき続けるつもり。

2009.07.23(Thu) 08:31 | URL | kenji|編集

かわいい狐のお話を読ませてもらいました。
狐って まるっきり犬の子供と同じように泣くし 習性も良く似ているようです。
新しく家のメンバーにするには もっと小さくないとメンバーに入るためには1週間では難しいかも・・・
それに 体臭が物凄く強い動物です。
その辺は 面倒だから 書かなくていいか?!とも 思いましたから コレでいいのでしょうね。
もう少し生まれたばかりくらいの小さい狐君のほうが現実味があるかもしれませんね。

登場人物が 増えてくると その人達の存在が 頭の悪い私には 覚え切れませんでした。
ただたんに おじさんとかおばさんだけでも良いかも?・・・・て これは 頭の悪い人用かな?ははは。
イラストはどちらも温かくやさしく それでいて光っているからBravo!!
猫ちゃんに子供が生まれた事で 狐の存在がふっと消されていたので ホッとしました。
語り口調が 童話的にいっそうなってきているのも 面白かったです。
 言葉使いが優しい感じで 今までと 違った感じがして新鮮でした。

2009.07.23(Thu) 07:54 | URL | fumi|編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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