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けんじのイタリア猫・ショートショート/あと57話
猫のエッセイです。
M嬢のペルシャ猫兄妹per


ミラノに長年住んでいるオペラ歌手志望のM嬢は、ペルシャ猫を2匹飼っていた。

ある年の8月、彼女はイタリア人の旦那と一緒に2週間ほど長野県に里帰りすることになったとかで、愛する猫を(もちろん2匹とも)預かって欲しいと僕に頼みこんできたのである。

その頃のボクは、我が家の2匹の猫、パンと弟分のノリ助が,家出をしてしまったショックから立上がれなく、不安定な(?)精神状態のまっさいちゅうだったので、どうしようかと迷った。

言ってみれば、猫を飼うこと自体にすっかり自信を失っていた時期なのだ。
でも、気分転換にそれもよかろうと、引き受けたい気持もなきにしもあらずだった・・・が、

何しろアパートは50平米と小さく、初対面の大型のペルシャ猫2匹を預かる事など、とてもとても。

自分が飼っている猫なら、部屋中ピッピーをふりまかれても、吐かれたり植木をひっくり返されたりしても,何とか我慢はできる。運命だと受け入れて。
でも、よそ様の猫が・・・

その上ペルシャ猫は毛が長く多くて、そのおびただしい脱毛は凄いに決まっている。
普通の猫だって夏はそうなのだ。しかもうだるようなこの時期。
脱毛の悩みは猫を飼ってる者にしか分からない。

それを言うと、M嬢曰く、

『バスルームの中でいいのよ』
平然として言い放ったのだ。

『バスルームの中だって~ェ?24時間中?キミ正気?』

哀れなネコ達は2週間もバスルームの中に閉じ込められているってことか。

そんなこと絶対ボクには出来っこない。
(安アパートにはトイレは一つしかなかったのだから)

まず、猫のほうが気が狂ってしまうだろう。
そしてだ。こっちが用足しにでも入いろうものなら、ハーッ、爪を立てて飛びかかって来るのでは・・・

怖い!
ボクは隣の家に駆け込むだろう。

「シニョーラ・エレナ、トイレ貸してください~ッ!ああ、もう・・・」
「あらまあ、お宅のトイレ故障なの?」
「いえ、今、猫が使用中でしてェ~ッ!」

僕はガン!として断った。
失望するM嬢。

その代わり・・・2週間の間、僕は毎日、ミラノ市内を東から西に横断して、彼女の家まで餌を与えに(砂も変えに)通うことにしたのである。
8月はヴァカンスで人も車も少ないから、以外と簡単なのだ。片道20分くらいか。

2匹のペルシャ猫は何とかいう純血種で、その見事なまっ白な毛並みは称賛に値いするが、僕はあのぐしゃっとつぶれた顔が苦手だ。
猫であれ牛であれ、ボクは整った美男美女型を好むのである。

「瓜二つみたいだけど、性格はそれぞれ違うの。テオドールはおっとりしてるけど、雌のフィクセーニアのほうが、気がきついの」

難しーいお名前。
知らなかったよ。
ロシアのグランドオペラ『ボリス・ゴドノフ』の皇太子と王女様の名前なんだそうな、これ。

ピンケルトンとチョチョサンだったら、ボクだって簡単に覚えられるんだけどねえ。

とにかくボクは通うことにした。
はじめの4、5日間、せっせと世話を焼いたにもかかわらず、猫達と情愛を交えるまでには至らなかった。ガツガツ、なりふり構わず喰い終わると、プイっとどっかへ姿を消してしまうのだ。

M嬢は感謝の気持ちを表現する教育はしなかったのかな?

片っぽう、ええっとテオドーロだったっけ・・・は段々とボクに近づきはじめた。
やがて、ボクが訪れると、尻尾をすりつける。可愛い。
へしゃげた面もご愛嬌に見えて来るというものだ。

フィ~ィ~フィクセーニアはそうはいかない。そっくりだから、間違えて抱こうとしたら、ハーッときあがった。
そのくせ、食欲のほうは、兄テオドーロ以上。
お前、あと一年も経ったらぶくぶくのかみさんになっちゃうこと間違いなしだよ。
(すごく食べるので、最初はこっちのほうが兄貴だと思い込んでいたのだ)

話が前後するけど、
日本への出発の前日、M嬢から電話があった。遠慮げに、

「出来ればだけど,毎日だいたい同じ時間に来ていただけないかしら?」
「あそう?何時くらい?」
「朝,8時か9時ころ」
まあいいや。ちと早いけど,その方が涼しいもんね。
それに、面倒なことは先に済ませる主義なんだ、オレは。

「お宅のネコちゃんは規則正しい生活に慣れてんのか」

「あらっ!それ、とっても大切なことなのよ。ネコにとって規則正しい生活は」だってさ。
知らないのォ?あんた、それでよくネコなんか飼えるわねって、声なのだ。
(でも、キミ、トイレに閉じ込める気だってあるんだろ?要するに飼い主の感性と習慣の相違)

ボクの飼育哲学はこうだ!
ネコはもともと野生動物。喰うために基本的に決まったごはんの時間なんてないんだ。
ボクはフリーデザイナー。食事の時間なんて決まってない。そのときの都合と気分と胃袋の加減で1~2時間早くなったり遅くなったりは毎度のことだ。飼いネコ達に対してもほぼ同じやり方。

自分の分は抜いてしまうことさえある!!!

ある日、M嬢のアパートに午後6時頃行ったことがある。まる8時間の遅刻だった。
どうしてもそれまでは時間が取れなかったのだ。

ドアを入るなり、方っぽうはすっと体をすり寄せてきた。
「ボク、お腹すいてるよー、ミャオ~ミャオ~」
悪かったな、勘弁してな。

だが、もう一匹はハーのッと牙をむき出して、遅メシに抗議するではないか。

お前ら、たまにはこんなこともあるってことも、経験するんだ。
ネコは水さえ飲んでいれば3-4日くらいは、平気で生きているって、猫専門書に書いてあったぞ!

もともと猫って大げさな奴。半日遅れても、3日くらい食べてないみたいな悲壮な声で迫ってくる。そんなことはパンとノリ助で充分知り尽くしている。ダマされるもんか!

まあ、明日はいつもの時間に来るから、ハーっなんてするの止めてくれよ。(K)

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 15:38 │Comments2 | Trackbacks0編集

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コメント

Re: タイトルなし
そうなんだよね。ネコってとっても大げさ。純情で初歩的飼い主はそれで参っちゃう。
ところで、ネコってイタリアではミァオって泣くでしょう?ミァオで検索したら、第一ページにボクのが出てました。 うれしかった。頑張らなくてはね。

2009.07.22(Wed) 23:03 | URL | けんじ|編集

生き物ってそれぞれの個性があって、それがまた可愛らしさや魅力に繋がりますよね。
優しいな~K氏、明日はいつもの時間に行ってあげるのね。
ハ-ってするのか、しないのか、ドアを開けてのお楽しみ~ 笑

2009.07.22(Wed) 17:24 | URL | Yoko|編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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