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イタリア猫ショートショート/後53話

b


ブラック&ホワイト(後編

「カッフェ・マッキアートにする?」

「ア・・・それ、ルール違反じゃないのかい?ブラックでいかなきゃあ。今夜は」
「ほんとだヮ、ミルクはミルクだけでね。B&W、ミルクは飲んでちょうだいね」

B&Wとはボクの新しい名前らしい。
ボクは白と黒の斑なのだ。顔だって半分が真っ黒。もちろんあと半分はまっ白という、可愛いよりも奇怪な顔。ホローフェイスと言った奴がいる。

皿は白地に黒の縁取り、胡椒入れも塩入れもクロ、床も食卓もチェス風のオール.ブラック&ホワイト。

若い二人は実に奇妙な恰好をしている。

白と黒とシルバー。二人の青い瞳が唯一のカラーだ。
今夜はコスプレごっこの夜なんだそうな。

「どうだい、オレのこれ?」

「前のとあまり代わり映えしないんじゃない。ところであたしのはどう?『銀河食堂』のウエイトレスのをアレンジしたの」

「こんな恰好じゃあ、喰うのに不便だな。あ、またソースこぼしちゃった」

「B&Wは何処?」
「ほら,君の真ん前に座っているだろ」
「あら、全然気がつかなかったわ、マラガで買った花瓶かと思ってたの」


真っ黒やまっ白、ボクのように白黒の斑のウサギたちが、チェス風の床の上を這い回っている。
まっ白や、頭だけ黒い二十日ネズミたちが、男の膝の上や肩に登って、無精髭についたチーズをなめる。

「やだよーっ!くすぐったいよーっ。N3とN5はいつもこうなんだ。B&Wを見習うんだ」

N2とやらは女のこのおっぱいの中に飛び込んだ。
「やめてーっ。ミルク飲みたいなら、ちゃんとテーブルの上にあるでしょ」

ネズミを退治するのは、何千年もまえから猫に与えられた崇高なる使命ではなかったか!

ミャーオっ!
ボクはハツカネズミに飛びかかろうとした。

あれ、体が動かない。一体どうしたんだ?
マラガの花瓶のようにボクも陶器に?
声を出したくてもウーウー、出ない!
金縛り?

「さあ、眠くならないうちにチェスを始めない?」
「OK!」
彼がウイスキーとグラスを運んできた。
「マダム、ブラック&ホワイトはいかが?」

「あたしを酔わせて勝つ積もり?先ずテーブルを片付けてからよ」

彼女は乱暴にボクを両手で抱えて窓際に置こうとした。
「あたし、この置物もう飽きちゃった!」

手が滑ってボクは床に真っ逆さま。ガッチャン!そしてこっぱみじんに。


         *


ギャーギャーミャーミャー!
自分の声で目が覚めた。
助けてーっ!

「あら、目が覚めたみたい」
子供のように若い男女がボクを覗き込んでいた。

「すっごくうなされてたわね。きっと、旅の疲れね。
ええーと、ネコちゃんの名前なんて言ったっけ?」

「ジョン。息子さんの奥さんが生まれ故郷のセント・ジョン島から取った名前なんだってさ」
「こだわったネーミングなのね」

「モシモシ?お宅のMr・ジョン、こちらには戻ってらっしゃらないようです。スミマセーン!」


「さあ、仕事だ。サロンの窓枠は明るいグリーンなんかどうだろうね?」
「いいわねえ。白黒ばかりだから、ちょっとポイントが必要な感じね」(終りK)

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 08:53 │Comments0 | Trackbacks0編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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