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イタリア猫ショートショート<あと33>
枕もとのネコ<その1>

na


クリスマス・プレゼント

ロージとバルトの小さく熱いキス・・・。2人は席を離れ腕を組んで庭の方に歩いていく。バルトがガラス戸を開ける。肌を刺すような風。

夜は更け、パーティはお開きになった。レストランの中は、もうわが事務所のメンバーだけ。
飲んで食べて大騒ぎして・・・いつもの忘年会スタイルなのだ。

カウンターでコートをとショッピングバックを受け取りながら、ロージは僕を見る。
「あんた、飲みすぎたんじゃあない?」
バルトは彼女がコートを着るのを手伝ったあと、
タバコに火をつけながら、僕に言った。
「お前のアパートまで送っていくからな」
「いいや、地下鉄で帰るから大丈夫だよ。それともタクシーで」
「バカ言うな。こんな年末にタクシーなんか捕まらないぞ。それにお前、結構酔ってるじゃあないか」
そうだよ、やけ酒らしいよ。

ロージが紙袋の中からリボンのついた包みを取り出した。
「ほら、プレゼント。これはバルトに。これはジョヴァン二に」

でっかいプレゼントは僕のためで、バルトのは小さくうすっぺらだ。
「これ本だな」
「そうよ。父が出版した最も新しい本なの。読んでね」
「もちろん。クリスマスまでに読まなきゃあ。君の父さんに感じたこと、遠慮しないでぶちまけるぞ」
「パパは大喜びよ。若い人に読んでもらいたいんだって」

バルトを見上げるロージの熱い眼差。
そしてまたまた軽いキス。

同僚たちは、コートを受け取って雪の闇に消えて行く。
歌を口ずさんでいる者もいる。
メリークリスマス!
これから長い休暇がはじまるのだ。

仕事開始はエピファニア(1月6日)が終わってから。
長い孤独な休暇、どうして過ごせばいいんだろう自分は。

「ジョヴァン二起きろ、着いたぞ」
「彼ったら大丈夫かしら?ちゃんとエレベータまで歩いて行けるかしら?」
「大丈夫さ。自分の家の前なんだから」
車の音が遠くなっていく。
       

頭痛で目が覚めた。部屋の中はすでに明るい。
冬の鈍い太陽が差し込んでいる。
胸がやける。あきらかに飲みすぎなんだ。

あれっ、ネコのポがオレを覗きこんでいる。
ジヴァン二くん、おはよう。やっとお目覚め?

ポが首に大きなリボンをつけているのでびっくり仰天。
真っ赤なリボン、金の縁取りがしてあるプレゼント用の安物のリボンだ。
リボンを付けて真面目腐って僕をみているポがなんともおかしい。

ポよ、お前が唯一の友だよ。
ありがとう、ジョヴァン二君。でも、やけ酒もほどほどにしないと。
ところでお前、なんでーえ、リボンなんか巻きつけてんだい?

このリボンがポの首にまきついているのはどうしてだろうかね?
と考える前に、自分が着替えもせず、スーツのままでベッドにぶっ倒れて、朝まで寝こんでしまってたことをに気がついた。

昨日戻ってきてコートを脱ぎ捨てるとベッドに腰を下ろしてプレゼントを開けて・・・それから・・・中身は目覚まし時計だったな,確か。
ロージのやつ、なんで、こんなものを?
子供だましの目覚まし時計。
(バルトには父親執筆の新刊本。この差は大きい)

箱から目覚ましを取り出すこともなく、リボンをポの首に巻きつけた。
ポ、よく似合うぞ!お前もクリスマスだ。
ポは全然嫌がらず、神妙にしていた・・・

ロージとバルトが親密な間柄どころか、もうすでに婚約まで突っ走ってたことは知らなかった。
他の連中だってとっくに知ってたに違いないのに、知らなかったのはこの間抜けのオレだけ。

この小さな建築事務所に就職して以来3年間、オレはずっとロージのことが好きだったのだ。
向かい合って仕事をする彼女は、優しく快活で美人でセクシーだった。
「とっても美味しいサンドウイッチ作ってきたの。あんたも食べる?
お礼を口実に、映画や食事にも誘ったし・・・

オレの情熱はエスカレートしていった。

だが、この7月、チーフとしてバルトが入社してきて、彼はさっとロージをモノにしてしまったのだ。
あっという間に。
ロンドンから帰って来たばかりの、姿もカッコいいバルト。

目覚ましの箱と包装紙の間に小さなバラ色の封筒が見えた。
それを手にすると、再びベッドに体をぶっつけて封を開けた。
心なし震える手で。

{カーロ・ジョヴァン二、
クリスマスおめでとう。
年明けそうそう遅刻してはだめよ。ロージ}

遅刻の常習犯でボスから小言を言われ続けていた友への思いやり。やさしいロージ、
でも、ただそれだけ・・・

白い天井を見つめている目がくもってくる。
リボンを付けたポがそっとすり寄ってきた。(K)

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 10:01 │Comments0 | Trackbacks0編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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