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イタリア猫ショートショート<あと32話>
枕元の猫/その2
メメ

耳なしメメちゃん

メメちゃん、あたしのメメちゃんはどこに行ってしまったの?

泣いて兄に訴える妹のリーナ・・・

ロッコは、はっと目が覚めた。
算数の宿題をやりながら、ついうとうととしてしまったのだった。

耳なしメメがいなくなったのはぼくの責任なんだ。
死の病に苦しんでいる幼い妹を、もっともっと苦しめているぼくは悪い兄貴だ。

父さんも母さんも、メメに似た子猫を探してきた。
「まあ、かわいい。でも、メメちゃんではないわ」

そして、うわごとを繰り返すのだった。

「あたしのメメちゃんはどこ?」


耳なしの子猫、スコッチ・フォードを親戚のおじさんが持ってきてくれたのは3ヶ月前だった。
小さな耳がぴったりと頭にへばりついていて、目がまん丸で、幼いリーナを一目で夢中にさせた。
灰色と茶の子猫。胸のところだけが白い。

耳なしメメちゃん・・・あたしの第一のお友達、いつも一緒なのね。
体が弱くてめったにしか外へ出られない幼い妹は、小さな自分の世界をメメと二分した。



悪気なんか全くなかったんだ。
もののはずみにちょっとだけからかうつもりで、妹が眠っているとき、メメを籠に入れてテラスに出しただけだった。

「メメちゃんはどこ?」目覚めた妹は聞いた。
「さあ、どこかな?誰かに連れていかれたらしいよ」
小学生の兄は冗談を言った。

「いやよいやよ、そんなの。メメちゃんはどこ?」
妹は火がついたように泣き出した。
驚いてテラスに行ったら、籠の中はもぬけの空になっていた。

そして・・・メメは帰ってこなかった。

幼いリーナは白血球癌と診断された。
医者は命の短いことをつげた。
父さんも母さんもロッコもみんな泣いた。

「あたしのメメちゃん、どこ?」
メメちゃんはどうして帰ってこないの?」
妹は衝かれたようにベッドの上でくりかえすのだった。

ロッコは父親とずっと遠くまでメメを探しに行った。
おじさんもメメの兄弟がいるかを調べてくれた。
いたけど、真っ黒の猫だった。

友達にも探すのを手伝ってもらった。
広告にも出して、八方手を尽くした。
でも見つからなかった。

メメはどこに行ってしまったんだろう。

メメが帰って来てくれるなら、ぼくの命と引き換えてもいい。
ロッコは魂の底からそう思った。

     

リーナは白い病室で目がさめた。
何だかいつもより清々しい気持ちだった。
看病に疲れ果てたおかあさんは、ベッドの横の椅子の上でつかの間の眠りに落ちていた。

初夏の葡萄畑をバックに子猫が一匹窓枠に座って、こっちを見ている。
「メメちゃんなのね。帰ってきてくれたのね」
リーナは声をかけた。
「メメちゃん、ベッドまで来て。あたしの枕元でおねんねして」

ネコは窓枠から降りるとベッドに這い上がってリーナの枕元にうずくまった。
少女は子猫を自分の胸のところに引き寄せた。
「やっとやっと、会えたのね。メメちゃんはきっとかえってくると思っていたのよ」


学校帰りのロッコがランドセルをしょったまま、足音を忍ばせて病室に入ってきた。
幼い妹は窓の方に顔を向けて目を閉じていた。顔には全く血の気がなかった。
天使のような安らかな表情で。

「ぼくだよ、リーナ」
そっと、2度呼んでみたけど返答はなかった。

「マンマ!起きてよ、リーナが!」
ロッコは叫んで、妹の顔に頬を寄せて泣きふした。(K)

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 23:29 │Comments8 | Trackbacks0編集

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コメント

Re: タイトルなし
ほんとう?
ありがとう。もっともっと泣いてもらうくらいのもの書きたいな。
イラストも気に入ってくれてありがとう。k

2009.10.04(Sun) 23:36 | URL | k|編集

Re: タイトルなし
どうなるのって、何が? もっと具体的に言って。k

2009.10.04(Sun) 21:11 | URL | k|編集

どうなるの?

2009.10.04(Sun) 20:42 | URL | Taka|編集

あ~けんじさん、又私を泣かせたわねぇ~~

リーナとメメちゃんの、なんて暖かな絵なんでしょう!!

2009.10.04(Sun) 09:01 | URL | mako|編集

あ~けんじさん、又私を泣かせたわねぇ~~

リーナとメメちゃんの、なんて暖かな絵なんでしょう!!

2009.10.04(Sun) 08:56 | URL | トンペイ|編集

Re: メメ
同情いたします。もう絶対帰って来ないと諦める時の気持ち。

2009.10.04(Sun) 00:31 | URL | k|編集

メメ
メメいなくなって 可哀想。
我が家でも経験あります。

2009.10.04(Sun) 00:26 | URL | ban|編集

リーナは天国でメメちゃんに会えたのね
天国に行ったら会いたい人や可愛がっていた子(猫)に会えるかな?楽しみが増えましたよ~。
まこの日本の友、AKIです。よろしく!
ず~っと研二さんファンでした。AKI

2009.10.03(Sat) 11:43 | URL | 名前無し|編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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