上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- │Comment- | Trackback-│編集

vv

(3)

「このねこちゃんたち、ここで生まれたのですか?」

「いいえ。レッコ市(スイスに近い北部の街)の川縁でメンバーが拾ってきたの。その辺りでは野良猫が頻繁に子供を生むらしいの。放っとくと飢え死したり、鳥やネズミに食べられたりする可能性があるし、見つけ出してこうしてもらい手を探すのが,私たちの仕事よ」

ne2絵・すむらけんじ

メンバーとは・・・

ネコが好きで可愛くて、ネコのためにだったら何でもしたい、何かしたい人のグループのメンバーとのことなのだ。

彼女ら(ほとんどが女性)は、市内だけではなく州全体にわたって網を張ったように連絡をとっているとか。

100%ボランティア.cc







「3階ですって?バルコニーはあるの?」
「バルコニーは3つあります」

我が家にバルコニーが3つあるのは、ボクの自慢にしてきたことなのだ。
バルコニーが3つ、交通の便がいいこと、並木の緑が、ささやかな我が家の良点。


「まあ!ネコが落っこちたらどうするのよ?」

「落ちる?一度、キッチンのバルコニーから、落っこちたことがあるんですよ。朝早く,ホシムクドリが飛んで来たのを捕まえようと思ったらしいのです。雨上がりで大理石の手すりが濡れていて,つるっと滑っておっこちちゃったというのがボクの想像。
ところが下のアパートの洗濯物の紐に引っかかったらしくて、スピードが落ちて怪我はまったくなかったのです。一階の家のテラスの大きな鉢植えの中にはまっちゃって、泣いているのを助け出したんだけど、興奮してたのは一時間だけ。しばらくするとケロッとして玉転がしなんかやっているので,こいつ、後遺症になるってタイプではないんだな、なんてアハハハ」

他愛なく我がカロータの失敗談を話していたつもりだったが,レジーナさんの顔が険しくなるのをもっと早く気がつくべきだった。

彼女はむっつりとして、書き込みの用紙をボクの前に差し出した。

氏名、生年月日、アドレス、そして市が発行する身分証明書のフォトコピー・・・

まではいいとしても、Codicefiscaleのカードのコピーまで。
このカードはイタリア人に限らず,在住外人に至るまですべての人間がもっていなければならない番号カード。
アパート入居、税金申告、健康保険、入院、クレジットカードの申請はもちろん、車の購入や,テレビ、コンピュータの購入にいたるまで、必ず提出しなければならない番号なのである。

こんなもの・・・ネコと何の関係があるんだね、
でも黙っている。失格になったらたいへんだもの。

まだあるのだ。
予防注射、去勢手術済みの証明書のコピーにいたるまで。

その上、家まで点検されたんじゃあ,せっかくもらっても、自分のネコって実感が湧くだろうか?

バルコニーの手すりに飛び上がるのを見るにつけ、下痢をするにつけ、レジーナおばさんの怖ーい顔がボクを脅かすのではなかろうか・・・

最後に・・・
『ネコの寿命を15-20年と仮定して、あなたの年齢を考えていますか?』

現在71歳+20歳=91歳!

ウーム、ワシはそれまで生きているのじゃろうか。

「でも、引き取ってくれる人がいれば、いいのよ」
と、レジーナさん。
その人の『承知しました』というサインが必要とのこと。

それなら大丈夫、ボクの女房はボクより10歳若いから、と出まかせを言う。
独り者にネコをあげるのを嫌がる人はいっぱいいるってことはすでに熟知していたからだ。


その書き込み用紙を貰って、すごすごと引き上げる。あまり自信がない。

ともかく生まれつきややこしいことは嫌いな自分だ。
こんな年になっても一応元気なのは,ストレスに落ち込まないことを心がけているからなのだ。

ネコに挨拶をしにバスルームへ。
可愛い。ぱっちりと見開かれた眼は僕をみあげる。
たまらない。
もしかしたら、僕たちはもう巡り会うチャンスはないかもしれないネ。
後ろ髪引かれる思いでバスルームを後に。

ドアのところでレジーナさんは言った。
「バルコニーに金網を張りなさい。話はそれからよ」

そして、
「あなたはとってもユニークな方だし、ネコを可愛がる人。さし上げたいのはやまやまだけど、猫の安全がまず第一なのよ」(つづく)
      絵と文・すむらけんじ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
訪問者の方のコメントと拍手お願いしますね。よろしくK

| 日記風・猫ホフィと我が耳のこと | 09:00 │Comments3 | Trackbacks0編集

| top|

コメント

Re: Re: タイトルなし
> まあね。
> 臆病者のぼくには、耐えられないよね。
> 興味と愛情と責任(猫に対して)があれば・・・これだけでは具体性がないかな?

2011.08.21(Sun) 11:30 | URL | すむらけんじ|編集

Re: タイトルなし
まあね。
臆病者のぼくには、耐えられないよね。
興味と愛情と責任(猫に対して)があれば・・・これだけでは具体性がないかな?

2011.08.21(Sun) 11:28 | URL | ミャオけん|編集

こんなに厳密な調査をした上で養子に出すとは・・・
それだけ動物を愛している・・・・という風に
解釈するんでしょうね~~

この方々のようなヴァランタリー精神の崇高さに脱帽!!

多分ミャオケンさんは、ここから逃げ出したでしょうね~~(笑)

2011.08.08(Mon) 08:50 | URL | Mako|編集

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://sumurakenji.blog112.fc2.com/tb.php/274-2d9d514b

すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

すむらけんじへメールする

名前:
メール:
件名:
本文:

イラスト、写真、文の無断使用を禁止

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。