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 ジュゼッピーナ・ストレッポーニは、ヴェルディがまだ無名のころ、スカラ座のプリマドンナとして活躍した人であったが、30歳半ばですでに声を失ってしまう。

後年ヴェルディと結婚するが、控えめで、四カ国語も自由に話せるほどのインテリ。
 学識と教養に溢れた彼女は、夫の良き友であり助言者でもあった。山積みされた夫への手紙の返答などは、ほとんど彼女が代筆していたという。夫を深く愛し、偉大なる芸術家として憧れ尊敬し、身も心も捧げた人であったから嫉妬心も強く、そのために自己との戦いも大きかった。

 『アイーダ』のレッスンが始ったときだ。自信に満ちあふれた若きソプラノがこの屋敷に現れたとき、ジュゼッピーナは絶望する。このソプラノと夫の間にすでに何かが起こっていることを、彼女は感知していたのである。

 サロンに現れたソプラノのテレーザは、師のピアノに合わせ三幕冒頭の『おお我が祖国』を歌い出す。かってのスカラ座のジュゼッピーナのように美しい張りのある声で・・・
 彼女はサロンの隣の自室に閉じこもり、二人のレッスンに聴き耳を立てている。弟子を叱りつけ、癇癪さえ起こすヴェルディだが、甘い言葉もわすれない。
「君、もっとドラマティックに! 可憐さはこの際全部捨てなきゃあだめだよ!」

 ジュゼッピーナは日記帳を取り出し、自分の気持ちをしたためる。
「今日は私の人生で、最も辛い日になるであろう」と。

 ジュゼッピーナを演じたのは、長年スカラ座のプリマとして君臨した、カルラ・フラッチという名のバレリーナ。
 監督から『フラッチこそストレッポーニのイメージにぴったり』と、是非と望まれて、俳優としてはずぶの素人ながらこの大役を果たした。
 ヴェルディを演じたのは、名前は思い出せないが英国の無名の俳優で、老後の役はとても良かった。顔もよく似ていて、ヴェルディはこんなひとだったのだろうと、想像させるにあまり有る役作りであった。だがその後、俳優として特別に注目もされずに終ったのはちょっと残念である。フラッチは、『ヴェルディ』のあと一度もドラマに出たことはなかったと思う。

                     *

 僕たちがサンタ・アガタを後にしたのは、午後もそんなに遅くはなかったが、視界が不可能なほど霧が立ちこめていた。「春になったら又来ようね」と話ながら、おそるおそるミラノへ車を走らせた (完)
 
*最後まで読んでくださって有りがとうございます。感想をまってます。

| オペラノスタルジー | 13:08 │Comments0 | Trackback-│編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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