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sumurakenji(39)

けんじ

大将、お寒うございます。『何か喰うもの持って来たんかよ』


KENJI

野良3兄弟『ぼくたち何時も一緒だから、なんにも怖くないし、さびしくないんだよね』

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眠り続けた左耳・・・
71年目に『人工内耳』に挑戦する!(15°Story)

さっそくドクター・アマンディが紹介してくれた「ロンギ補聴器センター」を訪ねた。

店はポルタロマーナという名前の通りで、ミラノ南部に続く繁華街にあった。
ボクが40年くらい前に間借りをしていた街なので懐かしい。

あの頃は下町って感じで古ぼけたたたずまいだったが、現在はどうしてどうして、地下鉄のYellow-Lineが出来て以来、枯れ枝からぱっと花咲いたように蘇った。

なにしろ250年くらい前の、しかも壁が1メートルもありそうな古い建物が連立している地域である。
以前は壁がぼろぼろになって、汚い下町風情だったが、今は違う。壁もバルコニーも修理され塗り替えられ、高級アンティックの店や、ブティック、レストランもいっぱいある。

主人のロンギ氏はさっそくシリコンをボクの右耳の中に流し込み,イヤモールドの型をとりにかかる。
これ、実に妙な気分だがもう慣れている。これで何回目だろうか。

KENJI


補聴器代はすべて込みで2200ユーロだそうな。想像してたよりちと高い。

ロンギ氏はドクター・アマンディほどではないがかなりの年輩だ。
補聴器もテクノロジーの世界だから、こんな老人で大丈夫なのかな?と、ちらと考える。

補聴器を嫌がる老人は多いと聞く。マルコの亡きお母さんしかり、35年ものおつきあいのあるブルニーニ家のご主人だって、高額払って補聴器を購入したはいいが、操作が面倒で、付けるのを破棄してしまったという。
宝の持ち腐れってこと。補聴器を付けることなど夢にだに考えなかった(もしかしたらその存在さえ)老人が子供や孫に無理に進められてつける・・・

そんな老人達を相手にしている補聴器屋さんって感じなのだロンギ氏は。
何となく雰囲気からして。

ま、様子を見よう。アマンディ先生のご推薦のお店だから悪くはないはず。

補聴器屋ってとても根気のいる仕事だと思う。売ってしまって、ハイ終わりってわけではない。アフターケアーはすべて込み(無料)なのだから。

ロンギ氏はテスト期間は1週間という。少ない。普通は2、3週間くらいくれるのに。

オレはそんな短期間で決めないぞ、納得がいくまでじっくり試してやるゾ!
こっちは補聴器のスーパー経験者なのだ。

約束の3日後に訪れるとイヤモールドは出来上がっていて本体と接続してくれた。

ロンギ氏が自ら耳にかけてくれて、コンピュータで調節を始める。
今までのとはちょっと違う気がする。音がすっきりしているような。

この4年間についに補聴器にも進歩あり?わくわくする。

でも、このお爺さん、こっちがいろいろ注文を付けても、いちいち聞いてたらかなわんよって感じなのだ。


「ボクは音楽が聴きたいんです。これで聴けますか?」

『Si?・・・あ、そう?」

『主にクラシックです。ワグナーやバッハやバルトーク。それが不可能なら購入はどうも」
つい、声が高くなる。

するとロンギ氏は、はじめてにっこり笑顔になった。
『息子を紹介しましょう。息子は音楽に精通しているので、きっと役にたってくれます』
この店は息子さんと2人で経営していることを知った。

2日後、息子さんとのアポイントメント。
「かなり聴けるはずです。この数年間に補聴器は進歩をしていますから」

長い間待ち望んでいた言葉だった。
確信ありげにテキパキと答えるこのドクターに信頼をよせる。
40半ばってところか。名前はエミリオ。
コンピュータで調節しながら、どんな注文やささいな質問も聞きのがさないでうなずき答えてくれる。

驚いた。エミリオ氏は、自分のスタディオのに、BOSEのアンプとスピーカを設置ているのだ。
これなら本格的音楽マニアにちがいない。

マリア・カラスを奇麗に聴きたい。8年ぶりに・・

「ソプラノが綺麗に入ると低音は大丈夫。あなたの聴力は低音部はまだ良好なので」
言うことも具体的だ。
中年以上の突発性難聴は,高音部からやられて行くのが普通と説明してくれる。

「このお店ではテスト期間は1週間とか。少ないですねぇ」
「とんでもない。納得がいくまで試してください。3週間でもいいですよ」


「お値段、2200ユーロですね?念のためですが・・・」

「2200?いや、2000ユーロですよ」
「でも父上は2200ユーロとおっしゃいました」
「いやぁ、そんなはずは。あなたの聞き間違いですよ,きっと」
笑って答えるエミリオ氏は、聡明で潔白そのものだ。さりげなくオヤジを保護するのにも嫌味なし。

そしてボクは2週間後に購入したのだった。

最初の頃はしつこく2回くらい毎週調節に通った。しつこいと思われても仕方がない。ベストの音楽鑑賞のために。

「ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番をきけるようになりたいな」
「私も3番はだいすきですよ」顔を輝かせるエミリオ氏。

「カタログで見たけど。マルタ・アルゲリッヒが吹き込んでいるようですね、ヴィデオがあったら買おうかな」
「いや、あの曲は至難のピアノ曲で、女には無理です。男性の大きな手の持ち主だけが引けるのです。ラフマニノフはとっても大きな手をしていた。アルゲリッヒには所詮無理な曲です」
ポピュラーな第2番は引けても3番は誰でもってわけではないのだ。

いつもざっとこんな調子なのだ。だから、調節してもらった後にも話しが途切れない。

そして3回目の調節の後だったと思う。
家に戻って、レシーバーを掛けて、テレビ中継のコンサートを聴いたときの感激は、今もって忘れられない。

コントラバスのソロが地の底から湧き出てくるように耳に、いや五感?にしみ込んで来た・・・

自分が難聴者であることを瞬間忘れた。
それほど音質が完璧だった。何年ぶりだろうか?
低音は問題ないだろう、とエミリオ氏が言ったのは間違いなかった。


だが、すべてがそう簡単に解決してはくれなかった。特に編成の大きいオーケストラ。

蝸牛の中には15,000くらいの棒状の草がまっすぐに生えているという。
(勿論これはもうミクロの世界のことだけど)彼らの一本一本がそれぞれ違った音を把握する機能をもっているという。この草は一本ずつまっすぐに生えていて、周りとふれあったりすることはない。鼓膜を通してどんどん入って来る音はここで完璧な音に修正されて、脳に伝えられる。

だが、ボクのような病いある草は周りとぶつかり合って、本来の役を果たさない。
オーケストラの規模が大きくなればなるほど、音は混乱して来る。ふれあうからだ。


それはともかく、その後の2年半、ボクはいろんな物を聴いた。
せっせとエミリオ氏のところに通い続けた。
彼の勧めで高いBOSEのレシーバーも購入した。

SKYというプライベートのチャンネルのクラシック番組も予約した。
クラシックを24時間聴けるテレビ衛生放送である。
オペラ、バロック、ソロ、協奏曲・・・何でもある。音楽の歴史や、作曲家や演奏家のことなど、教養番組もいっぱいだ。

でも音楽を楽しむための条件があった。
CDだけで楽しむことはもう限界だった。
ヴィデオやテレビ放送などでの視覚的助けが、ボクには欠かせない条件になっていた。
例えばシンフォニーにしても、楽器がアップになると、脳の助けで音色に還元されていく。

視覚にたよって聴いていると、奏者の好き嫌いまではっきりして来る。口を半開きのヴァイオリニスト、高慢チキなソリスト、いつも悲しげで神経質きわまりないピアニスト・・・は、聴いている(見ている)ボクをイライラさせる。安っぽい舞台装置やコスチュームや照明だってそうだ。
耳と目で鑑賞しているボクには、総合芸術としてオペラを見るようになった。
(つづく)
えと文・すむらけんじ

| 日記風・猫ホフィと我が耳のこと | 05:16 │Comments2 | Trackbacks0編集

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コメント

Re: いい面構えのニャンコさん達ですね。
v-12
コメントありがとうございます。日本では今、ねこバールがはやっているとのこと、次回帰国のときは是非行って見たいものですね。両国のねこの顔立ちの違いのこと,面白いですね。でも僕としては、違いを述べるのはとてもむずかしいです。ところで最近Facebookのねこ倶楽部などに参加していますので多くのねこの写真を楽しむことができます。これほど多くの種類,表情、ポーズに驚いています。
僕のイラストも気にいってくださってありがとうございます。又、ぜひ、コメントください。けんじ

2011.11.20(Sun) 01:31 | URL | すむらけんじ|編集

いい面構えのニャンコさん達ですね。
はじめまして。20年ほど前に会社の先輩方とローマに旅行に行ったことがあるのですが、至る所に(=^・^=)がいて、猫好きの私はとても嬉しくなったことを覚えています。
で、会社の先輩に「日本の猫と顔が違う」と伝えたら、彼女には一緒に見えるとのこと・・・でも、添乗員さんは私と同じ意見で、少し日本の猫より、丸顔が多いのではないか?との事でした。

すむらさんの絵、優しくてとても好きです。

2011.11.10(Thu) 05:01 | URL | ぶち猫|編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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