上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- │Comment- | Trackback-│編集

sumurakenji(42)
sumura
夜中の2時。ホフィも寝ないでつき合ってくれてますが、この下で仕事しているので、置物が蹴られて落っこちてくるのではないかと。ヒヤヒヤの毎日。
sumuraFacebook の金澤さんの誕生日祝いのメッセージ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

眠り続けた左耳・・・
71年後に『人工内耳』に挑戦する!(18°Story)


2010年11月22日

昨日と同じく猛烈な寒さ,本格的な真冬の厳しさが身にしみる。朝6時過ぎに家を出た。
厚い雲がはり,夜中じゅう小雨が降ったためか道は悪い。あの脅威の猛暑がどうしても信じられないほど。
ともかく予定よりずっと早く、7時前にはサン・ジェラルド病院の正面玄関に着いた。

一階の入院手続きをする事務所の中は既にあふれんばかりの人。眠そうな顔、不安げな顔,不機嫌な顔ばかりで,笑顔の人など全く見かけない。隣にある血液検査の採決手続きの部屋は,これまたすっごい人で,ドアから人が溢れ出ている。
イタリアの病院は朝が早いのは知っている。日本はどうなんだろうか。

入院手続きを済ませ,言われたように9階の耳鼻咽喉科に出頭する。

イタリア語では耳鼻咽喉科のことをREPARTO-OTORINORINGOIATRIA(レパルト・オトリーノリンゴイアトゥリーア)と言います。
絶対に覚えられないと諦めていたけど,こうもおつきあいが華々しくなると,すっと口を出るようになる。

耳鼻科の待合室に落ち着いて,トイレに行ったり本を読んでいると声がかかり、事務室に呼ばれて最終的な質問を受ける。
担当者は違うが10月3日に精密検査のときと全く同じ質問ばかり。
プラスアルファの質問と言えば,『最後にトイレに行ったのは何時?』くらいだ。
つまり最後にウンチをしたのは何時ですか?ということである。

ボクは誇り高く答える。「15分前です」
そうなんだ。めったにないほどの快便だった。
『これはPORTA FORTUNA(幸ウン)の印だ』とつぶやいたほどだ。

笑って書き込む担当の女性。
そして、看護婦が来て入院室につれて行かれる。3人部屋である。

着替えさせられて点滴が始まる。
藤沢周平の『消えた女』を読んでいると、手術医のドクター・デルフィーが挨拶に来られた。
若々しくテキパキとして感じがいい。もう信頼100パーセントなので,良いところしか見えない。
簡単な質問の後「手術は10時にやります」と言い残して出て行った。

ロッコは朝食を取るために一回のバールに行ってたが、やがてチョコレートやジュースを片手に戻って来てくる。何しろ凄い喫煙家なので、近寄ってくるだけでタバコのにおいがするほどだ。戻って来て同室の人たちと話しが弾む。彼は誰とでもすぐ親しくなる。イタリア人は一体にそうだ。
外科医の看護士なので,つい専門的な話題となるらしく、周りは色々質問してくるが、それに調子良く答えているロッコ。
ボクの隣のベッドには中年の男性がいるが、ロッコの話しではノド手術だそうで、もう前日手術は終わったとか。午後家へ帰るそう。
sumura

もう一人は高校生くらいの背がめった高い若造で、何とも頼りない生っちょろい感じ。アデノイドを取る手術で、前日から入院。体調を準備して手術は明日らしい。今日1日何も食べられないそうだ。
こっちはずっとずっと大手術なのに、出頭して2時間後には,もう手術ってわけ。こんな簡単に扱われてると,『大手術なのだ!』という実感が起こらない。

小僧の付き添いの奇麗な金髪の女性、すらりとして、姉さんかと思っていたら実はマンマ。
このごろテレビ映画で親子が皆若くて兄弟姉妹に勘違いしてしまうことがよくある。
午後から来た親父も若いがそっちの方は貫禄があって一応父親に見える。


看護婦が「時間よ!」といってお迎えに来たが,「トイレ!」というと、点滴をはずしてくれたので,急いで用を足しに行った。点滴しても体の方が慣れていなく、栄養になる前にそのまま尿になってしまうって感じなのだ。


ベッドに寝かされたまま、部屋を出る。
全く恐怖など起こらないが、ふと、おふくろの最後の大手術のときのことを思い出した。あれは1983年の2月。癌と宣告されての大手術だった。今ボクと同じようにベッドに寝かされて病室を出て行く母親を姉弟は、涙涙で見送ったときの悲しい思い出。
おふくろは片手をちょっと上げて,『バイ、バイ』と言った。7時間も掛けた大手術も実は手遅れで、6ヶ月の命と宣告されたのだった・・・

そんな思いが専用エレベーターに入りながら,頭をかすめたときは、ちょっとしんみりした。

エレベーターの中にロッコも入って来たので看護婦が、「あら、ここは患者専用よ」と抗議する。
「そう?」ロッコの恍けた声。出ようとしない。

エレベーターを出て、手術室に向かっているのが分かる。この病院の作りすべてがそうだが、直角の作りではなくすべて斜めに通路は走っているらしく,迷路に迷い込んだ感じだ。ついに、レストランのカウンターみたいなところで,寝たまま手術室のピカピカのステンレスの上に移動させられる。幅はもっと狭い。これがまな板ってことか。

手術室って感じよりホテルのレストランのキッチンって感じだ。ライトブルーの衣類に全身固めた看護士や看護婦達は,腹の底からテキパキと喋り、冗談をいい患者にもメッタ愛想がいい。行き来する看護士の顔・・・と言っても目だけだが、イタリア人がいかに大きな目をしているかを改めて実感する。真っ黒な瞳、青い瞳・・・輝いてる。

それにしても手術室ってもっとしめやかな感じだと思っていたけどね。

「BUON GIORNO. COME STA?(こんにちは、ごきげんいかが』

ブルーずくめの大男が目だけをぎょろつかせて、ステンレスの横に立った。
ドクター・デルフィーではない。初めて見る看護士、と思ったら,実はロッコ。ぎょっ!

「おまえ、どっから混じれ込んだんだよ?」
「ドクター・デルフィーの許可さ。手術が見れるガラス窓はないのですかって聞いたら,看護婦に衣装ひとそろい着持ってこさせて、これを着て入れだってよ。勿論、オレの身分証明書は看護士のボスに見せたよ」
ドクターはロッコが優秀な看護士であることを感じているのだろう。
初めてドクターとも面接のとき、ロッコは冴えてたもん。

いよいよ麻酔というときになって、猛烈な尿意を感じる。
「ピッピーが・・・」
近くにいた太った看護婦さんが「スザンナ!パッパガッロ持って来て!」
(パッパガッロとはオウムのことだが、イタリアでは俗称シビンのこと)

スザンナという看護婦が持って来てくれて下半身にそっと差し入れてくれる。
「出たら言ってちょうだい。すぐ手術始まるんだから」

でも,出ない。たまっているのは分かるが,尿道に行くまえでストップしているのだ。
緊張しているのかもしれない。急がされルトマ生ます出にくくなるのが子供のときからの癖。
「出た?」と催促に来る看護婦。

ロッコはじーっと僕を見ていたがやがて言った。
「出なきゃあ,出ないでいいんだよ。麻酔がかかってる間は絶対に漏らしたりしないんだから」
フーン、そんなもんか。

看護婦が左手の手首の血管に麻酔薬を打つ準備をしているのをおぼえている。
「麻酔を打って効き目がでるのは5秒後」
ロッコがそんなことをいってたっけ・・・・



大声で喋り走り回っている看護婦達。大混雑の手術室なのだ。
僕の顔すれすれに顔を近づけて来て笑う彼ら・・・

はっとめがさめた。
「手術はうまく行ったぞ!」ロッコが顔を近づけて笑っている。
「パッパガッロを頼む。漏れそうだ」
看護婦が駆けつけて来てさしこんでくれる。
ものすごい量だ。回収に来た看護士があまりの量にびっくりした,おどけた顔をする。

「手術は見たのかい?」
「見た見た。人工内耳の手術歯初めてのことなので、勉強になった」

埋込んだ機械は皮を閉じる前にコンピュータと接続してテストされる。12ポイントの穴があってそのうち9ポイントが反応を示したとか。蝸牛から脳へ通じる聴神経の活動のことである。12ポイントのうち9ポイント,・・・ということはマイナス3ポイント。つまり完全に回復する訳ではない,と思うと少しがっかりする。(つづく)
えと文・すむらけんじ
'''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''''
訪問者の方のコメントと拍手お願いしますね。よろしく K

| 日記風・猫ホフィと我が耳のこと | 09:44 │Comments0 | Trackbacks0編集

| top|

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://sumurakenji.blog112.fc2.com/tb.php/323-382975b8

すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

すむらけんじへメールする

名前:
メール:
件名:
本文:

イラスト、写真、文の無断使用を禁止

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。