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sumurakenji(43)
sumura

ひとりぼっち。
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眠り続けた左耳・・・・
71年後に『人工内耳」に挑戦する!(19°Story)


意識がはっきりしてくるに従って,手術したあたりがずきんずきんと痛みを感じる。

手術は2時間半。ドクター・デルフィーの他に若い医師が2人と5人の看護士が参加していたという。

まず、頭蓋骨をガリガリ削って、機械を埋込む。機械の端っこから出ている紐の先を蝸牛につなげ、まだ生きている脳神経にうまく接続されたかをコンピュータで調べる。植え込まれた機械の中には12ポイントの反応ポイントがあって、9ポイントは反応したそうだから、まあまあと思わなければ。

再び病室に運ばれてやれやれ、やっと済んだわいって気持ち。
看護婦が僕の頭を持ち上げて、枕を2つ差し入れようとするので拒否する。枕なしで寝たいと言うと、だめ!1個は必ず付けとかなきゃと注意される。面接のときも、聞かれたものだ。あなたは普段寝るときは,枕を1つ,それとも2つ?枕の1つか2つかは大切なことらしいのだ。
sumura

そして絶対に体を起こしてはいけないと注意される。寝相の良くないボクに取っては,大変なことなのだ。

ロッコは又明日来るからと言い残して5時頃帰ってしまった。
痛みはいくらか退いていた。

パンカレーと紅茶と桃のシロップのまずい夕食が終わって,長い長い夜が始まった。
ほとんど寝られなかった。本当に長い夜だった。
『消えた女』を読みたいと思うが,体を動かすのが怖くそれも出来ない。数時間経ったと思うが、夜勤の看護婦さんが入って来て何か囁いた。

全く聞こえない。それもそのはず、右側の補聴器の電池が切れているのだ。瞬間、上半身をパッと起こしてベッドの隣のロッカーを開けようとしたら、真っ黒などろりとした血が一滴、そしてまた一滴、白いパジャマの上に落ちた。
「血だ」と、小さく叫ぶボクに看護婦はびっくりして急ぎ足で出て行ったが、すぐに別の貫禄のありそうな女性を連れて戻ってきた。
「血は鼻から出たの?それとも耳から?」
鼻からだと云うと、安心したようだったが、とにかく体を起こさないでねと言って出ていった。
そして又、長い夜。
手術前をしたあたりが枕にあたると痛い。だから少し位置をずらす。そんなことを繰り返しても、時間は経ってくれない。

うとうととして目が冷めたときは、もう朝食の時間で、給食の女が乱暴に盆を置いて行ったときだ。挨拶もなく微笑みもなく荒んだ扱いである。

小便がしたい。
真夜中にやってしまったのはすでに引き下げられていたので、変わりの空のパッパが置かれているべきではなかろうか。フレボーのチェックに来た看護婦にパッパガッロを持って来てと頼むと,頷いて出て行ったが、すぐに監督役らしい別の女が入ってきて言った。

「あなた、一人でトイレまで行けないの?」
これが女の開口一番。

「いけますよ。だけど、起き上がったら絶対にダメって言われてるんだ。ああっ、漏れそう!」
と、おおげさに答える。
「聞いてみるわ」そして、女は出ていったが、しばらくして、パッパガッロさげて戻ってきた。
「もう,自分でトイレに行っても構わないそうよ。今回はこれ持って来たけど,次のときはトイレに行って頂戴」
どうも、彼女達は粗暴だ。刺々しいって訳ではないんだけれど。

僕はイタリアに来てそれまでに2回入院した経験がある。車で大事故を起こしたときと盲腸をとったとき。そのときは私立の入院保険を持っていたので,勿論、スイーッ。高級ホテル並みの扱いだった。大体看護婦達の教育が点と地の差だ。

『ミャけんさん。お早うございます。今日のメニューを持って参りましたの」

愚痴を言っても仕方がない、事情が違うんだ。今回はフル国民保険なんだから。

しばらくして,2人の30代の看護婦が入って来る。にこにこして挨拶してくれるので気が和らぐ。
体をふいてくれて、何と『マエ』まで拭いてくれる感じで、シーツをはごうとするので、手で押さえて恥ずかしいという動作をする。薄暗がりならともかく?、太陽が部屋いっぱいに降り注ぐ窓の下ではちょっとねえ。
くすくす笑う彼女ら。
「自分でするの、ね?」「そう」
子供扱いなのである。

するとベッドの両脇の2人はシーツを4方に持ち上げて空間を作ってくれる。その中でごそごそ。
それが終わると「自分のパジャマは持って来たの?どこ,ロッカーの中?」そして慣れた手つきで着せてくれる。
北京で買った絹100セントのピジャマなんだ、これ。
その後、彼らは他愛無く僕に質問したり、冗談を飛ばしながらシーツを変えてくれる。
こんな看護婦さんばかりだったら,楽しいんだけどね。

しばらくしてドクター・デルフィの朝の検診。
この先生が僕の手術をしてくれたんだと思うと感謝の気持ちがわく。昨夜,鼻血が出たことなどを告げると,うなずいただけ。そして,彼の部屋に案内されて,お椀型の包帯をとってくれる。

「これでよしと。すっきりしたでしょう」そして、
「12ポイントのうちほとんどが反応を示したので、私は満足している」
「ありがとうございます」(つづく)
文とえ・すむらけんじ
明日から旅行をいたしますので、1週間お休みいたします。
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| 日記風・猫ホフィと我が耳のこと | 21:39 │Comments0 | Trackbacks0編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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