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koiwa


日本から訪れた新婚さんを夕食にご招待。
新郎は東京のF広告代理店の友人の後輩だ。

新郎クン「おせんべいお好きですか?」
ボク「もっちろんだよ!」
「よかったーっ。おみやげ、なんにしようかと迷ったんだよねェ~」
新婦サン「そうよねえ。外国にいらっしゃるから、やっぱり日本の味がいいんじゃないかしらってねェ・・・」

「ハイッ、これ、つまらんもんすがっ!」
「アッリガトウッ!」
嬉しそうな顔しないと。
こんなにかさばるもの(靴でも入りそうな箱)を、地球の裏側からわざわざ持って来てくれたんだもん、失望させてはいかんって気持ちが先に立つよね。

 でも、正直言うと・・・その季節はどうしたわけか。魔?のセンベイシーズンなのであった。
 次から次ぎへと届くお土産のおせんべいを、一日中バリバリ、バリバリ。
 駆け出しフリーランスの閉じ込められた毎日。ついつい食っちゃう、バリバリッと。
 こういうのを意地汚くなるっていうのかね、バリバリッ。
 口の回りに吹き出しものができそうだ。

 でも、告白しよう。ボクはもともとは大の甘党なのであった!

大丸地下のはかり売りダイフク待ってんだーァ、オレは!!
 でも、悲痛な叫びは地球の裏側までは届かないのだ。

                     *

 新婚サンが帰ったときは、もう夜中の一時を回っていた。
 ともかくガバガバっと包装紙を解くと、
『小岩の手焼きせんべい』と力強い書道が眼に飛び込んできた。
 箱を開ける。
 びっしりと詰まった大型せんべいは、漆喰の黒光りした浅草海苔で完全武装された超高級品なのであった。今までにもらったのもの中でも、超高いのは間違いなしだ。こんなにいっぱいノリ使ってるなんて勿体ないなァなんて気も。

 ガワ(海苔のところ)をはいで口にもっていく。美味しいなつかしい。その頃は商社マンならともかく、われわれ貧乏アーティストにこんな高級品、気ままに入って来る時代ではなかったのだ。
 ノリだけはがして、むしゃむしゃやっていたら、誰かにじーっと見られている気配を感じた。

 寝室のドアの隙間からチビが眠そうな顔で、こっちをみている。兄貴のパンに寄り添って熟睡しているはづのチビは、夢遊病者のような足どりで近づいてくるのだ。
 ボクの足許までくると、しきりに鼻をクンクンやっていたが・・・
 いきなりジャンプで、エイッ、ボクの手から、両手でノリを奪い取ったのだ。そして一気に食べてしまった。あっと言う間の出来事。そして次を待っている目は真剣だ。

「自分だけオイチイモノ食べてるなんて、ズルイッ!  ミャーオ」
 生まれて5ヶ月しかたってないチビ。
 またガワをはいで与えると、しっつこくお変わりを要求する。
中身(せんべい)も喰わせようとすると、そっちの方はしっつこく拒否する。
 こいつ、ぜいたくな。
 浅草ノリに胃と魂を奪われたイタリアンネコ。
それにしてもだ、隣の部屋で熟睡しているのに、ノリの匂いを嗅ぎ付けるとはねえ。
ノリ助,お前すごいぞ。
あ、名前が決まった。
 『ノリ助と命名しよう』
えーとーっ、イタリア語では海藻のことを何て言ったっけ。
 ア、ル、ゲ。
 うーむ。悪くない。イタリア人には『アルギーノ』だ。
「アルギーノ、もう寝るんだ。おかわりは明日」

 騒ぎ?で夢を破られたパンが、でっかい図体で、これまたよたよたとドアから出てきた。
「あれ、お前もかい?、遅れる猫はもらいが少ないって言うだろ。でも、一切れだけなら」

 兄貴ネコは鼻をクンとやっただけで、
『コレって、真夜中にぎゃあぎゃあ騒ぐほどのモノなの?』
 そしてのろのろと寝室へ戻って行った。(K)
nori

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イタリアに来て初めて飼ったのがキジのパンでした。でもボクがたびたび留守をするので可哀想で、1年後に同じ母親から生まれた子猫をもらってきました。それがノリ助です。我が家にもらわれてきたノリ助はネズミのように家の中を走り回り、追っかけるパンは噛み付いたり、投げたり悪さを続けていたけど、翌朝ボクがサロンに入って行くと2匹は抱き合って寝ていました。それからはいつも一緒、とっても仲良しでした。でもパンは手術をしていなかったので、エネルギーをもてあまして、とうとう出て行ってしまった。ノリ助はすっかり元気を失い、食欲もなくなり、大好きだった浅草海苔もまったく食べなくなりました。そして10日ぐらいたって、雪の夜、ノリ助も出ていってしまいました。うまくパン兄貴に巡り会えただろうかと、そのことばかり考えている日が続きました。涙、涙で、もう絶対にネコは飼うまいっと決心したのですが、今のホフィは5匹目です。(笑)

| 猫が語る10の物語 | 15:51 │Comments0 | Trackbacks0編集

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すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

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