上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- │Comment- | Trackback-│編集


パンの弟(3)チビの名前が決まる

ff

日本から訪れた新婚さんを夕食にご招待。
新郎はF広告代理店の友人の後輩だ。

新郎クン「おせんべいお好きですか?」
ボク「もっちろんだよ!」

「よかったーっ。おみやげ、なんにしようかと迷ったんだよねェ~」
「そうよねえ。外国にいらっしゃるから、やっぱり日本の味がいいんじゃないかしらねェってねえ・・・」
こんなことにでも同意を求めあう2人の瞳はアツアツのそれ。

「ハイッ、これ、つまらんもんすがっ!」
「アッリガトウッ!」

嬉しそうな顔しないと。
こんなにかさばるもの(ちょっと変形すれば、靴でも入りそうな)を、地球の裏側からわざわざ持って来てくれたんだもん、失望させてはいかんって気持ちが先に立つのは、あたりまえだよね。

でも、正直言うと・・・その季節はどうしたってわけか。

魔?のせんべいシーズンなのであった。

次から次ぎへと届くお土産のおせんべいを、1日中バリバリ、バリバリ。
フリーで閉じ込められた孤独な毎日。つい,つい食っちゃう、バリバリッと。
こういうのを意地汚くなるっていうのかね、バリバリッ。

でも、告白しよう。ボクはもともとは甘党なのであった!

大丸の地下食品のはかり売りの大ふく待ってんだァ、オレは!!

でも、悲痛な叫びは地球の裏側までは届かない。

               *  
            
新婚サンが帰ったときは、もう夜中の一時を回っていた。
ボクはその箱を開けた。まだ開けてない先着のがあったんだけど、ついこれを。
べらぼうに箱が大きいから、せんべいって百も承知でいて、何かしらん期待も。
ガバガバっと包装紙を解くと、
『小岩の手焼きせんべい』と力強い書道が眼に飛び込んできた。

箱を開ける。
びっしりと詰まった大型おせんべいは、黒光りした浅草海苔で完全武装された超高級品なのであった。
今までにもらったのもの中でも、超高いのは間違いなしだ。こんなにいっぱいノリ使ってるなんて勿体ないなァなんて気も。

ガワ(海苔のところ)をはいで口にもっていく。なつかしい。いいなあ。(その頃は商社マンならともかく、われわれ貧乏アーティストにこんな高級品、気ままに入って来る時代ではなかったのだ)

ノリだけはがして、むしゃむしゃやっていたら、誰かにじーっと見られている気配を感じた。

寝室のドアの隙間からチビが眠そうな顔で、こっちをみている。

パンに寄り添って熟睡していたはづのチビは、やがて夢遊病者のようなおぼつかない足どりで近づいてくるのだった。
ボクの足許までくると、しきりに鼻をクンクンやっていたが・・・

いきなり得意のジャンプで、ボクの手から、両手でノリを奪い取った。そして一気に食べてしまった。
あっと言う間の出来事。そして次を待っている目は真剣だ。

「自分だけオイチイモノ食べてるなんて、ズルイッ!  ミャーオ」

生まれて3ヶ月しかたってないチビが、もう食い物に抗議する。
こりゃあ先が思いやられるぞ。
またガワをはいで与えると、しっつこくお変わりを要求する。
中身(せんべい)も喰わせようとすると、そっちの方はしっつこく拒否する。
こいつ、ぜいたくな。

浅草ノリに胃と魂を奪われたイタリアンネコ。

兄貴(パン)は正体もなく眠りこけているようだ。
浅草海苔は彼の五感に訴えないのか。
猫にもそれぞれ食い物の好みと趣味があるってこと、初めて実感した。

それにしてもだ、隣の部屋で熟睡しているのに、ノリの匂いを嗅ぎ付けるとはねえ。
ボクの鼻は1メートル離れたところからだって、そんな器用なことはできない。
ノリ助,お前すごいぞ。
あ、名前が決まった。

『ノリ助と命名しよう』

えーとーっ、イタリア語では海藻のことを何て言ったっけ。さっそく辞書を。

ア、ル、ゲ。

うーむ。悪くない。イタリア人向けは『アルギーノ』だ。

「アルギーノ、もう寝るんだ。おかわりは明日」

騒ぎ?で夢を破られたパンが、でっかい図体で、これまたよたよたと夢遊病みたいにドアから出てきた。
「あれ、お前もかい?、遅れる乞食はもらいが少ないって言うだろ。でも、一切れだけなら」

パンは鼻をクンとやっただけで、
『コレって、真夜中にぎゃあぎゃあ騒ぐほどのモノなの?』

向きを変えると、パンはのろのろと寝室に戻って行った。(K)

| 猫.cats,gatti 100の足あと | 18:54 │Comments0 | Trackbacks0編集

| top|

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://sumurakenji.blog112.fc2.com/tb.php/83-b0f9e7c8

すむらけんじ

作者: すむらけんじ
ミラノに住む広告イラストレーターです。このブログは今まで飼った猫、今飼っている猫のことを綴ったものです。
作者は左耳は生まれつき難聴にかかり、人口内耳に踏み切るまでの耳の歴史、未来のことなども連載しています。

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

すむらけんじへメールする

名前:
メール:
件名:
本文:

イラスト、写真、文の無断使用を禁止

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。